急死した宝塚歌劇団員の妹「パワハラが当たり前の世界」 初めて思い語る【全文掲載】

記者会見する遺族代理人の川人博弁護士(左)ら=27日午後、東京都内(撮影・藤森恵一郎)

 宝塚歌劇団の俳優女性(25)が死亡した問題で、女性の妹が27日、自身も現役団員と明かした上でコメントを発表した。歌劇団について「日常的にパワハラをしている人が当たり前にいる世界」と語り、「遺族に誠意を持って対応しているとは思えない」と歌劇団の姿勢を厳しく批判した。

 妹が思いを語ったのは初めて。遺族代理人によると、「(歌劇団の)中の実態を知る者として、訴えを出したい」と強く希望したという。現役団員がこの問題について公の場で声明を出すのは異例。

 亡くなった女性が受けたパワハラについて、「悪質で強烈にひどい行為」と指摘。「宝塚は治外法権ではなく、宝塚だから許されることなど一つもない」と批判した。

 また、歌劇団の対応についても「パワハラを行った者の言い分のみを聞き、第三者の証言を無視している」とし、怒りを隠さなかった。(小尾絵生)

◇妹の訴え(全文)は次の通り。

<訴え>

 妹(宝塚歌劇団現役団員)

 私は遺族として、大切な姉の為、今、宝塚歌劇団に在団している者として想いを述べます。いくら指導という言葉に置き換えようとしても、置き換えられない行為。それがパワハラです。

 劇団員は宝塚歌劇団が作成した【パワーハラスメントは一切行わない】という誓約書にサインしています。

 それにもかかわらず、宝塚歌劇団は、日常的にパワハラをしている人が当たり前にいる世界です。

 その世界に今まで在籍してきた私から見ても、姉が受けたパワハラの内容は、そんなレベルとは比べものにならない悪質で強烈に酷い行為です。

 厚生労働省のパワハラの定義を見れば、姉が受けた行為は、パワハラ以外の何ものでもありません。

 宝塚は治外法権の場所ではありません。宝塚だから許される事など一つもないのです。

 劇団は今に至ってもなお、パワハラをおこなった者の言い分のみを聞き、第三者の証言を無視しているのは納得がいきません。

 劇団は、生徒を守ることを大義名分のようにして、パワハラを行った者を擁護していますが、それならば、目撃したパワハラを証言してくれた方々も、姉と同じ生徒ではないのですか。

 そもそも【生徒】という言葉で曖昧にしていますが、パワハラを行った者は、れっきとした社会人であり、宝塚歌劇団は一つの企業です。

 企業として、公平な立場で事実に向き合うべきです。

 スケジュール改革や、各種改善策に取り組んでいるような発表をしていますが、姉の死を軽視し、問題を曖昧化しているとしか思えません。

 これ以上姉と私たち遺族を苦しめないでください。

 姉は体調を崩している訳でも、入院している訳でもありません。

 二度と帰ってきません。

 姉の命の重さを何だと思っているのでしょうか。

 劇団は、「誠意を持って」「真摯に」という言葉を繰り返して、世間にアピールしていますが、実際には、現在も遺族に誠意を持って対応しているとは思えません。

 これ以上無駄に時間を引き伸ばさないでください。

 大切な姉の命に向き合ってください。

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