ケガで大会欠場続きのナダルにデ杯スペイン代表監督のフェレール氏が見解!「ラファの優先事項はパリ五輪だろう」<SMASH>

男子テニス元世界ランク3位のダビド・フェレール氏(スペイン/41歳)が母国の大手メディア『Marca』のインタビューに登場。その中でケガに苦しんでいる同郷の元王者ラファエル・ナダル(現654位)に言及し、「彼の優先事項は今夏のパリ五輪だろう」との考えを口にした。

昨年1月の全豪オープン(オーストラリア・メルボルン/四大大会)で左股関節を痛めて以降ツアーを離れていたナダルは、手術と懸命なリハビリを経て今季開幕戦の「ブリスベン国際」(ATP250)で約1年ぶりに復帰。1回戦では元世界3位のドミニク・ティーム(オーストリア/大会時98位)、2回戦ではジェイソン・クブラー(オーストラリア/同102位)をいずれもストレートで退け、ブランク明けとは思えないプレーでベスト8へ進出していた。

しかし久々の連戦が負担となったのか、ジョーダン・トンプソン(オーストラリア/同55位)との準々決勝では左足上部を負傷。最後までコートに立ったものの試合には逆転で敗れた。その後回復に努めたナダルだったが、先月の全豪は「左足の筋肉の軽い損傷」を理由に欠場。プロテクトランキング(負傷離脱前のランキングで大会にエントリーできる救済措置)で参戦予定だった先週の「カタール・エクソンモービル・オープン」(ATP250)も出場を見送った。

ケガ自体はそこまで深刻なものではないと報告していたナダル。現状では3月3日に同国の後輩カルロス・アルカラス(20歳/2位)と共に参加する米ラスベガスのエキジビションマッチでの復帰を予定している。同エキジビションで解説を務めることとなっているフェレール氏は初めに今後のナダルの動向を焦らずに見守っていくべきだと強調した。
「私に言えるのは、ラファが『BNPパリバ・オープン』(3月6日~17日/アメリカ・インディアンウェルズ/ATP1000)を含む春の北米ツアー、そしてクレーシーズンでどうなるかを見られるまでは少し待つ必要があるということだ。特にクレーシーズンは彼の調子を知るのに非常に大事な時期になる」

2022年末から国別対抗戦「デビスカップ」でスペインのキャプテンを務めるフェレール氏は、国の威信を懸けて戦う今夏のパリ五輪こそが現時点でのナダルの最優先事項になるのではないかと主張する。またそこでのナダルとアルカラスによる“夢のダブルス”の実現についても大いに期待したいと語った。

「今のラファの優先事項は、デ杯に先駆けて行なわれるパリ五輪だろう。クレーシーズンで良い成績を収め、競争力をつけてパリのコートに立つといった具合にね。またアルカラスとのダブルスは、全てのテニスファンと私にとっての願いだ。僕も(国の)キャプテンとして、そのことにとても興奮している」

ナダルが過去14度もの優勝を誇る四大大会「全仏オープン」(クレー)と同じ会場で開かれるパリ五輪のテニス競技。ホームグラウンドと言っても過言ではないあの赤土のコートで躍動するナダルの姿が見られれば、ファンにとっても非常に喜ばしいことだろう。

文●中村光佑

© 日本スポーツ企画出版社