知人のAさんから聞いた話です。夕食の品数が少ないと、必ず不機嫌になるAさんの夫。「主婦なんだからちゃんと料理しろよ」と度々文句を言う夫の言う通り、Aさんはできるだけ多くの品数を作るように日々心がけていたのですが……。
こんなの夕食とは認めない
ある日、子供の学校行事で忙しく、時間がなかったAさん。「夫に怒られるかも」と思いながらも、夕食に焼きそばを作っておきました。
「あー疲れたー」と帰宅した夫は、とても不機嫌そうでした。そしてテーブルに置かれた焼きそばを白い目で見て、こうブチ切れたのです。
「焼きそばは軽食だろーが! こんな子供じみたもの食えねぇわ!」
Aさんは夫に「ごめんなさい」と謝りましたが、焼きそばを食べてもらえませんでした。そして夫は、自分だけ居酒屋へ行ってしまったのです。
「もう絶対に許せない。ギャフンと言わせてやる!」とAさんは決意を固めました。
実家でやきそばが登場すると
それから数日後、Aさんの実家に家族で行った時のこと。Aさん家族は、夕食を実家でごちそうになることになりました。
「今日はこんなものしかなくてごめんね」
Aさんの母がそう言って出してきたのは、なんと焼きそば! その時、夫の顔は笑えるほど引きつっていました。
その一方で、子供たちは「焼きそば大好き! とっても美味しいね!」と大喜びです。そして、母はこう子供たちと夫に話したのです。
「おばあちゃんの焼きそばも美味しいけど、ママの焼きそばの方が美味しいでしょう? ねぇ、〇〇さん(夫)」
こんなことを言われたら「焼きそばは夕食とは認めん!」とは絶対に言えません。「普段はあまり食べないのですが、たまにはこういうのも美味しいですね……」と夫は返すしかありませんでした。
ここで仕返しだ!
ここでチャンス到来です! Aさんは夫に向かってこう言いました。
「あれ~? 焼きそばなんて子供じみたものは、夕食に食べないんじゃなかった? でも、 ここのは食べるんだね!」
嫁の実家で嫌味を言われた夫は、とても気まずそう。「あら~そうなの~? 夕食に出してごめんなさいね」と追い打ちをかける母にタジタジでした。
さらに「せっかく料理を作ったのに、食べてもらえないのは悲しいものよ」と母が夫に説教をしてくれたので、Aさんはスカッとしました。
実はAさん、「夫が焼きそばを食べてくれなかった」と前もって母に愚痴を言っていました。そして今回、母に焼きそばを作ってもらうように根回ししていたのです。
焼きそばは軽食のイメージという気持ちも分かりますが、忙しい中、せっかく用意したご飯に文句を言われると、困ってしまいますよね。その後、夫は思うところがあったのか、焼きそばはもちろん、何でも文句を言わず食べてくれるようになったそう。一方でAさんは、忙しい時に作る焼きそばでも、なるべく具材を多めに入れるようにしているんだとか。きっと、夫婦円満の秘訣は、互いに寄りそうことなんでしょうね。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:花澤ひかる