「和歌山の方言は宝物」 専門家が和歌山市で講演

「和歌山の方言の世界とその魅力」と題したトークイベントが、このほど(2月23日)、和歌山市で開かれ、国立国語研究所の専門家が、聴衆に問いかけながら進行し、「和歌山の方言は無形文化財で宝物。大切にしてほしい」と呼びかけました。

和歌山市民図書館2階・多目的ルームで開かれたトークイベント

これは、和歌山市民に、自分たちのまちを好きになってもらおうと、和歌山市民図書館が主催したもので、1948年に創設された、日本語に関する研究機関、国立国語研究所の朝日祥之(あさひ・よしゆき)教授が和歌山の方言について語りました。

講演した朝日教授

この中で、朝日教授は、「和歌山県のことばは、紀北、紀中、紀南、それに紀中と紀南の山間部を奥地として、4つにわけることができる」と指摘しました。

「西尾純二・澤村美幸(2019)「和歌山県田辺市龍神方言」方言文法研究会(編)『全国方言文法辞典資料集(5)活用体系(4)』方言文法研究会」

そして、和歌山県のことばの特徴として「目」を「メェ」、「赤くなる」を「アコナル」と発音することや、発音すると、ザ行とラ行がダ行になり、ダ行がザ行になること、人の存在を「イル」ではなく「アル」と表現することや、奥地の方言として「起きる」を「オクル」と表現することなどが紹介されました。

朝日教授は、「和歌山県には、海岸部と山間部があり、地域的・文化的な多様性が豊かで、無形の文化財である方言が根付いている。方言に関心のある皆さんは、自らの言葉に対する理解を深め、研究者から申し出があれば、是非、教えてあげてほしい」と呼びかけました。

和歌山市民図書館2階の多目的ルームで開かれたトークイベントには、定員いっぱいの20人の市民が参加し、朝日教授から請われて「アコナル」などの和歌山弁を発音していました。

イベントの後、朝日教授は「東北にある、音の多様性が、関西の和歌山にもあるのはおもしろいし、今後、どうなっていくのかを考えるとワクワクする。方言は文化そのものでその土地に根付いてきた宝物。大切に記録して一つでも多く後世に残すとともに、若い人たちには、自分たちの新しい言い方をつくってほしい。それが広まれば地域の言葉になる。日々の言葉を見つめ、使い、生み出してほしい」と呼びかけました。

© 株式会社和歌山放送