「自転車だと思っていた」相次ぐ電動キックボードの違法運転 原動機付き自転車【モペット】に注意

テレビ愛知

電動キックボードの違法な運転が今、社会問題になっています。そんな中、キックボードのほかにも、全国で違法な運転が相次いでいる電動の乗り物があります。その乗り物とは?

2月3日、名古屋市中区栄の路上で一方通行を逆走する電動キックボードに男性がひき逃げされた事件。男性にけがをさせたにも関わらずそのまま逃げたとして、中区の44歳の無職の男が無免許危険運転傷害などの疑いで逮捕されました。

自転車店によく似た2台…一方は電動アシスト自転車でもう一方は原付バイク

モペット

電動キックボードによるひき逃げ事件を受け、愛知県警は取り締まりを強化しました。

愛知県警察本部 第一交通機動隊 河原典幸警部補:
「悪質、危険性の高い電動小型モビリティ違反者に対し、交通指導取り締まりを強化します」

2月21日、名古屋市内の繁華街で電動キックボードをはじめとする電動の乗り物に関わる道路交通法違反の取り締まりを行いました。2時間の取り締まりで検挙したのは4件。そのうち2件がペダルが付いた原動機付き自転車です。

自転車のようにペダルをこいでも走行できますが、ペダルをこがずにモーターの力だけでも走行できます。「フル電動自転車」「モペット」とも呼ばれています。中区大須にある販売店を訪ねました。

テレビ愛知 東記者:
「店頭に並んだ2台。非常によく似ているんですが、一方は電動アシスト自転車ということで自転車なんですね。しかしもう一方は、原動機付自転車、原付バイクなんです」

店長:
「原動機付き自転車(モペット)はペダルをこがなくても、アクセル操作のみで走ることができるのが特徴です」

運転するには運転免許・ナンバープレート・自賠責加入が必要

ナンバープレートが必要

道路交通法でモペットは、ペダルをこいでの走行でも時速20キロを超えるスピードが出る場合、一般原動機付自転車、いわゆる「原付バイク」と定義されています。そのほかに大きさやモーターの出力などの条件もあります。

モーターを使う、使わないにかかわらず、交通ルールも原付バイクと同じです。運転免許やナンバープレート、自賠責保険への加入が必要なほか、ミラーやウインカーなどの安全装備も必須です。また歩道を走ることはできません。

「自転車だと思っていた」と弁解する人も

警察庁によるモペット利用者による違反の検挙数(去年1年間)

警察庁によると、無免許や整備不良など2023年の「モペット利用者の違反」の検挙件数は全国で345件、愛知県は91件でした。ただ捜査関係者は電動アシスト自転車との見分けがつきづらく、検挙は難しいといいます。

名古屋で行われた取り締まりでも、警察官がモペットかどうか念入りに確認していました。また違反者の中には「自転車だと思っていた」や「原付と知らなかった」と弁解する人もいるということです。

専門家「販売店のPRの仕方にも問題が」

自転車安全利用研究会 谷田貝一男 代表

警察庁は道路交通法を改正し、「ペダル付き原付きは、エンジンやモーターを止めてペダルのみで走行する場合も自転車ではない」と明記する方針です。モペットや道路交通法に詳しい専門家に話を聞きました。

自転車安全利用研究会 谷田貝一男 代表:
「運転免許等が必要だと知らずに購入してしまった人のほとんどは、インターネットで購入しているんですね。販売する側のPRの仕方に問題があると思います」

インターネットの販売サイトには、原付バイクだという説明が分かりにくいページが多いといいます。

自転車安全利用研究会 谷田貝一男 代表:
「”気が付かなったということがないような広告に必ずさせる”ということを法的に(販売側を)指導する必要があると思う」

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