3000名のサポーター、そして未来のため…北朝鮮指揮官、五輪出場を懸けたなでしこ戦へ意気込み

2月28日に控えたパリオリンピック2024女子サッカーアジア最終予選・第2戦の日本女子代表(なでしこジャパン)戦に向けて、北朝鮮女子代表を率いるリ・ユイル監督が前日会見に出席した。

24日にサウジアラビアのジッダで開催された第1戦は、守備を固めた北朝鮮女子代表をなでしこジャパンが崩し切ることができず、スコアレスドローでタイムアップ。28日に控えた第2戦は、勝ったチームがパリオリンピック2024本大会の出場権を獲得するという条件の中で開催される。

リ・ユイル監督は「明日の試合の重要性については私を含めて、これ以上言うことはないと思っています。選手も私も十分に承知しています」と宣言。JFA(日本サッカー協会)が発表したチケットの販売済み枚数では、既にアウェイゴール裏応援席が3000枚も売れていることが明らかになったが、「明日は同胞の皆さんが大勢応援に駆けつけてくださると聞いていますので、ベストを尽くして良い結果を出したいと思っています」と意気込んだ。

北朝鮮女子代表チームへの熱烈なサポートは明日の試合だけにとどまらず、空港到着時にはおよそ200名ほどのファン・サポーターが駆け付けたという。リ・ユイル監督は「私も選手も若いため、日本に来るのは初めてです。異国ということで不安もありましたが、熱烈な歓迎が非常に嬉しかったです」と本音を明かすと、『国立競技場』に3000人ものファン・サポーターが駆けつけることを受けて「私も含めたチーム一同、アウェイではなくてホームでやるような、自分の家でプレーするような感覚でできると思います」と述べ、再度「この応援に応えるためにもベストを尽くしたいです」と強調した。

前述の通り、第1戦では守備を固めるやり方を徹底し、結果的にはなでしこジャパンを相手にクリーンシートを達成した。「日本は素晴らしい選手が揃っており、欧州など世界で活躍しています」となでしこジャパンへの印象を口にしたリ・ユイル監督は、その中でも「サッカーの監督という立場の意見として、長谷川唯選手の能力が非常に高いと思っています」と発言。なでしこジャパンを高く評価していることを明かしつつも、「私たち自身も第1戦の後に分析をしました。攻守に足りない部分で、ミスも発見できましたので、明日の試合ではそのような部分を修正し、ジッダでミスをした分を埋め合わせて、全力を発揮したいです」と語った。

そんな北朝鮮女子代表チームは2次予選の終了後、寒冷地である平壌の環境面を考慮し、温暖な中国で25日間ほどの合宿を実施したという。「今回の試合のために、チームとしての完成度を高める強度の高いトレーニングをしてきました」と自信をのぞかせたリ・ユイル監督は、国を代表して挑む今回の試合が持つ重要性を次のような言葉で説明。同時に、今後の北朝鮮女子サッカー界に与える影響も口にした。

「日本も朝鮮も共通して、胸に国旗をつけて試合に臨みます。言うなれば、国を代表して戦うということです。自国の名誉のためにもパリ五輪に出場して、自分たちの能力を十分に発揮したい。その気持ちは同じだと思っています」

「家族や友人など、多くの人々が期待してくれているので、応えたい気持ちが強いです。自分たちが頑張ることで女子サッカーの発展に少しでも貢献できるということが、パワーの源になっています。人は誰でも応援してくれる存在がいることで、支えられている気持ちが強くなります。明日も応援してもらえることで、大きな力になると思います」

「サッカーをする者としては、朝鮮サッカーの発展のためにも重要な試合だと思っています。このような大きな舞台に立つことで、多くの国々と競い合い、良い成績を残し、たくさんの経験を積むことによって、朝鮮のサッカーの未来にとっても重要な経験ができると思っています」

勝利したチームがパリオリンピック2024本大会行きの切符を掴める明日の試合は、東京の『国立競技場』にて18:30キックオフ予定。試合の模様は「NHK総合/NHKプラス」で生中継されるほか、「DAZN」でもライブ配信される。

【ハイライト動画】0-0で終わった北朝鮮vsなでしこ第1戦

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