強制不妊文書開示訴訟、控訴審判決は5月9日 記者「人権侵害の記録、闇に葬らないで」

大阪高裁

 優生保護法(1948~96年)下の強制不妊手術に関わる公文書を非開示としたのは情報公開条例に反するとして、京都新聞社が滋賀県に開示を求めた訴訟の控訴審の第2回口頭弁論が27日、大阪高裁(長谷川浩二裁判長)であり、結審した。判決は5月9日に言い渡される。

 最終意見陳述で原告である京都新聞社の記者(43)は「滋賀県を含む都道府県が強制不妊手術を決定していた。国は都道府県に対し、たとえ手術対象者が嫌だと言っても身体を拘束したり、麻酔で眠らせたり、さらにはだますことすら認めていた」と背景を説明。「強制不妊手術という人権侵害の記録を黒塗りのまま闇の中に葬るのではなく、実態を解明し、再発防止につながるよう開示を命じてほしい」と訴えた。

 県は「対象公文書には優生手術対象者とその家族に関する機微な情報が多分に含まれている」とし、県が公開した情報以上を明らかにすれば個人が識別されたり、権利利益が侵害されたりする恐れがあると主張した。

 京都新聞社は2017年、不妊手術の適否を決める県優生保護審査会に提出された文書を情報公開請求したが、県は大半を黒塗りにして非開示とした。昨年3月の大津地裁判決は、手術を受けた人の発病後の具体的行動や治療経過などの情報について一部を除いて開示を命じ、出生や異性関係、遺伝情報、就労状況などの情報は非開示と判断した。同社と県の双方が控訴していた。

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