関電計画の乾式貯蔵施設「安全性の考え方には合理性ある」 福井県原子力安全専門委、貯蔵方式に異論出ず

関西電力が福井県内3原発すべての敷地内で設置を計画する乾式貯蔵施設の安全性などについて審議した県原子力安全専門委員会=2月27日、福井県庁

 福井県原子力安全専門委員会の会合が2月27日、県庁であり、関西電力が県内3原発全ての敷地内で設置を検討している使用済み核燃料の乾式貯蔵施設について審議した。委員からは使用済み核燃料を収納する金属製の専用容器「キャスク」の性能や貯蔵方式に異論は出ず、「(同施設の)安全性の考え方には合理性がある」と容認した。県は、原子力規制委員会への申請に向けた関電の事前了解願について、専門委の意見も踏まえて判断する方針。

 3原発で計画する乾式貯蔵施設の使用済み核燃料の保管容量は計1530体(700トン)。2027年ごろから順次設置、運用を始める方針。関電は30年ごろに県外で操業開始する予定の中間貯蔵施設への円滑な搬出が目的だとしている。

 会合で関電側は、輸送兼用のキャスクの安全性をはじめ、使用済み核燃料の密封後にキャスクを横向きに台に載せて1基ずつ鉄筋コンクリート製のパネルで覆い、敷地内に並べていく貯蔵方式を説明した。

 鞍谷文保委員長(福井大学名誉教授)は、横向きでの貯蔵方式を採用した理由を質問。関電原子力事業本部の高木宏彰副事業本部長は「地震などで転倒しにくい」としつつ、敷地内に大規模な建屋を建設できるスペースがない点も理由に挙げた。同様の方式は、東京電力福島第1原発で採用実績があるとした。

 キャスクを載せる台を地面に固定しない点については、同本部の井岡文夫原子燃料部門専任部長が「地盤の硬さによらず設置でき、滑りで(地震時の)揺れも吸収できる」と説明。台から地面に落下する可能性に備えて、キャスクの外側には衝撃吸収カバーを取り付けることや、キャスクとコンクリート製パネルが衝突しても健全性を確保できる設計を検討しているとした。

 黒崎健委員(京都大学複合原子力科学研究所所長)は、関電が検討している設置場所について「原発事故時の対応の動線に影響はないか」と質問。高木副事業本部長は「事故対応のアクセス道路を避けて設置する」と強調した。

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