ダイハツが2カ月ぶり生産再開 山陰両県の製造業者でライン稼働させる動きも「回復はまだ先」

ダイハツの看板

 ダイハツ工業が26日、認証不正で停止した主力工場の生産を再開した。車両部品などを納めていた山陰両県の製造業者でも停止した製造ラインを稼働させる動きが出始めたものの、再開対象の車種はまだ限られるなどし、従来の状態に戻るには時間がかかりそうだ。

 26日にダイハツ工業の子会社ダイハツ九州の大分第1、第2工場(大分県中津市)で、昨年12月25日の停止以来約2カ月ぶりに軽自動車「ミラ イース」など10車種の生産が再開。両工場は国内生産台数の5割を担う主力となっている。

 自動車の足回り部品などを作るダイハツメタル出雲工場(出雲市神西沖町)は大分工場の再開を見据え、今月中旬、停止していた一部製造ラインの稼働を始めた。大分で作る軽商用車「ハイゼット トラック」用部品などを作っていたものの、昨年末から一部の従業員を設備の保守点検や研修に回してきた。橋本公成工務部長は「人繰りを再調整し、品質管理などの態勢を整えたい」と話した。

 鋳物用の鋳型を製造する大勢シェル(松江市東出雲町揖屋)はダイハツの生産停止以降、自動車部門の人手を船舶や農機具部門に充てる臨時措置を講じてきた。小澤俊孝社長は「全面再開に向けた大きな動きなのは間違いない。今後、生産計画の詳細が示された際に対応できるよう準備を進めていく」と構えた。

 帝国データバンクによると、ダイハツと取引がある企業は下請けを含め島根51社、鳥取17社あり、年間取引額(推計値)は島根が16億円、鳥取は24億円。松江支店の渡辺聡支店長は部品などを間接的に納める業者が多いのを踏まえ、「取引の回復には時間がかかるのではないか」と見通した。

 ダイハツ車を販売する島根ダイハツ販売(松江市浜乃木6丁目)は昨年末以降、新規受注を停止し、修理業務などを中心にこなしてきた。生産再開でようやく納車待ちの人らに供給できるめどが立ち始めた。林秀一管理統括部長は「(生産再開を)前向きに捉えているが、再開は一部車種のみで影響はまだ大きい。一日も早い完全再開に期待したい」と話した。

 大分と同じ完成車工場のうち、本社工場(大阪府)と滋賀工場(滋賀県)の生産再開は3月以降になる。

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