臼井さんに性別変更の戸籍謄本 「新しい出発」婚姻届提出へ

性別変更が反映された戸籍謄本を手にする臼井崇来人さん=27日午後、岡山市(画像の一部を加工しています)

 性別適合手術を受けずに戸籍上の性別変更を岡山家裁津山支部に認められたトランスジェンダーの臼井崇来人(たかきーと)さん(50)=岡山県新庄村=が27日、女性から男性への変更が反映された戸籍謄本を岡山市役所で受け取った。一緒に暮らすパートナーの女性(46)と3月にも婚姻届を提出する意向といい「新しい出発だと感じている」と喜びを語った。

 戸籍謄本は岡山市の広域連携サービスを利用し、本籍地の玉野市から取り寄せた。臼井さんは市民保険年金課窓口で職員から受け取ると、両親と自身の続柄が「長男」と記載されていることを確認し、顔をほころばせた。

 臼井さんは報道陣に対して「銀行口座をつくるときなどに『女』と書かれた書類を提出するのにためらいがあった。公的に認められうれしい。自分の感覚を信じて良かった」と話し、「同じ思いをしている当事者が引け目を感じず、差別に遭わず自分らしく生きられるようになってほしい」と訴えた。

 戸籍上の性別を変更する際は、性同一性障害特例法の規定で生殖能力をなくす性別適合手術が事実上必要とされるが、最高裁は昨年10月、この規定を違憲で無効と判断。臼井さんは2016年に手術なしの性別変更を申し立てて審判で退けられたが、最高裁決定を受けて改めて申し立てを行い、津山支部が今月7日、臼井さんの性別変更を認めた。

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