日向坂46 四期生がアニメ制作に挑戦 『日向坂アニメ部』の活動は今後広がりを見せるか?

昨年の8月20日深夜から放送がスタートした日向坂46 四期生初の地上波冠番組『日向坂アニメ部』(カンテレ)。その特集記事が『Animage 2024年3月号』(徳間書店)と『PASH! 2024年3月号』(主婦と生活社)で組まれている。

『日向坂アニメ部』は小西夏菜実、正源司陽子、平尾帆夏、渡辺莉奈の4人がアニメ作りの工程を学ぶことで、アニメの魅力を発信していくという番組。同番組に登場するオリジナルキャラクターのタコレット教授のイラストは正源司が手掛け、教室背景の文字は平尾がデザインを担当するなど、メンバーのアートの才能が活かされている。グループの冠番組『日向坂で会いましょう』(テレビ東京系)とは異なる4人のゆるい空気感とアニメ制作の現場に実践的に触れられるのが魅力だ。

4人はアニメ好きなメンバーとしても知られており、中でも『日向坂アニメ部』で部長を務める正源司は公式ブログで投稿したイラスト(題名:「夢幻」)の上手さがファンの間で話題となったことがある(※1)。『PASH! 2024年3月号』にて小西は「最近山口陽世さんとラジオで共演させていただいて、そこから山口さんがアニメがすごい好きだということで色々お話ししました」と語ったり、平尾も「みんなサブスクに入っているので、『今これがオススメ!』って正源司とかとオススメし合ったり、『これ観たよ~』って共有し合ったりしてます」と日向坂46内でもよくメンバー同士でアニメの話をすることを明かしていた。

日向坂46では、かつて「ひなたの部活動」と呼ばれるファンクラブ会員限定コンテンツがあった。メンバーそれぞれが各部活の部長となり、“やりたいこと”をもとに部活動を立ち上げ、各部の様子をファンクラブ会員に向けて届けていく。河田陽菜が発足した「地元愛部」や高瀬愛奈の「うどん部」、山口陽世の「野球部」など、それぞれの特色を活かした部活動が好評を博していたが、2023年5月31日をもって惜しまれつつも終了してしまった。

その後始まった『日向坂アニメ部』ではアニメ好きな四期生が集結し、アニメのリアルな現場を体験している。第1回ではアニメーションの動きについて、実際にアニメ制作会社で働くアニメーターから学び、メンバーでタコレット教授がジャンプするイラストを描いた。第2回ではアニメには欠かせない音の世界が紹介され、小西・平尾ペアと正源司・渡辺ペアに分かれて、様々な道具を使ってアニメの効果音を再現。お椀やボウルを使って表現する小西・平尾ペアに対して、正源司・渡辺ペアはサッカーボールや灯油タンクを使って再現しており、2組のイマジネーションの違いが面白い。そして2月18日に放送された第3回では「背景美術」をテーマに初の課外ロケとして、『王様ランキング』や『アイの歌声を聴かせて』などで知られるアニメ美術監督・金子雄司が代表を務める美術スタジオ「青写真」を訪れた。実際に4人は背景美術の登竜門である空のイラストに挑戦し、独特な感性を発揮。実際に現場では手描きしていることを知った平尾が「デジタルが多いと思っていたので手描きに感動しています」と驚いていたが、アニメ制作の実情を知ることができるという意味でも、『日向坂アニメ部』がもたらす意義は大きい。

『日向坂アニメ部』がメディアで取り上げられたのは今回が初めてだが、これを機に期待したいのはグループ全体で部活動が活性化していくことだ。たとえば、同じ坂道シリーズの乃木坂46では『乃木坂工事中』(テレビ東京系)から発足した部活動が活動範囲を広げていった経緯があり、2022年には「乃木坂野球部」が新たに発足。部員である久保史緒里、黒見明香、柴田柚菜、向井葉月、金川紗耶の5人はそれぞれがセレモニアルピッチにて投球を披露し、32ndシングル『人は夢を二度見る』には「乃木坂野球部」初のユニット曲「Never say never」も収録された。部活動が外仕事へとつながっていくいい例だろう。

「乃木坂野球部」のような広い活動への期待として、『日向坂アニメ部』の活躍の場としてまず挙げられるのは声優業ではないだろうか。2021年には声優を題材にした日向坂46主演のドラマ『声春っ!』(日本テレビ系)が放送されたり、丹生明里が劇場版長編アニメ『DEEMO サクラノオト -あなたの奏でた音が、今も響く-』に声優として出演、影山優佳(2023年7月卒業)も女子サッカーを題材にしたアニメ『さよなら私のクラマー』プロジェクトの応援マネージャーに就任し、浦和邦成高校女子サッカー部員役で声優にも初挑戦するなど、活躍の場を広げてきた。

『日向坂アニメ部』の4人のポテンシャルはまだまだ未知数なところはあるが、たとえば平尾は『日向坂46 平尾帆夏のひら砲らじお』(エフエム山陰)でパーソナリティを務めており、凛としていて透き通った声色は声優向きだろう。また、「乃木坂野球部」のようにユニット曲のリリースも考えられる。その際に期待されるのはやはりアニメとのタイアップだ。決して容易なことではないが、『日向坂アニメ部』の番組内で実現する可能性も十分にある。2024年は『日向坂アニメ部』の活動が多方面に展開していくことに期待したい。

※1:https://www.hinatazaka46.com/s/official/diary/detail/51718?ima=0000&cd=member

(文=川崎龍也)

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