耳元に光るピアス…スーパーの店員おしゃれ原則自由 福井県内で広がる基準緩和、人材採用狙いも

身だしなみ基準の見直し後、明るい髪色に変え、ピアスをして仕事に励む女性従業員=福井県福井市のハーツ羽水店

 茶髪でもピアスでもOK―。福井県内のスーパーなどの接客業で、従業員の服装や身だしなみの基準を緩和する動きが広がっている。多様な価値観や個性を尊重して働く意欲を高める「働き方改革」の一環だが、慢性的な人手不足対策として注目する企業も増えてきた。採用担当者からは「明るく接客できる人材を、髪色だけを理由に不採用にする余裕はない」との声も聞こえてくる。

 福井県民生協(本部福井市)は2月から、スーパーや福祉施設など全事業所の従業員約1650人を対象とした身だしなみ基準を見直した。これまでは髪色のほか「男性はひげ禁止」「マニキュアは透明のみ」「ピアスの大きさは5ミリ以内」などの細かいルールがあったが、原則自由に。▽衛生的▽安全性▽清潔感―の3原則を守る形で「職員自らが身だしなみを判断・選択する」とした。

 ハーツ羽水店で売り場作りなどを担当する22歳の女性は、髪色を黒から明るくイメージチェンジ。耳元にはペアのピアスが光る。「自分の好きな格好をしていると気分が上がり、お客さまに対して自然に笑顔になる。仕事を続けていくモチベーションにつながっている」と話す。基準見直しから約1カ月、来店者からのクレームは1件もないという。

 基準緩和は、慢性的な人手不足の中で採用の幅を広げる狙いもある。人事担当者は「過去には身だしなみ基準がネックになって採用を見送った人材もいた。多様性を尊重し生き生きと働く今の職員の姿を見て、一緒に働いてみたいと就職を希望する人が増えてくれたらありがたい」と話す。

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