奇妙な現象、中国人の預金はなぜ増え続けているのか―中国メディア

中国メディアの三聯生活週刊は27日、「金利がこんなに低いのに、なぜ中国人の預金は増え続けているのか」との記事を発表した。

中国メディアの三聯生活週刊は27日、「金利がこんなに低いのに、なぜ中国人の預金は増え続けているのか」との記事を発表した。

記事は、「わが国の預金金利は過去1年以上にわたり下がり続けており、建国以来最低を記録しているが、ある奇妙な現象が起きている。金利がどれほど下がり続けていてもわが国の住民の預金はますます増えており、低金利は庶民の貯蓄意欲に少しも影響を与えていないのである」と述べた。

その上で、中国では2022年9月以降、相次いで利下げが行われていることに言及。「金利が下がると預金を別の場所に移したり、投資に回したりするのが普通であり、わが国が持続的な利下げを行っているのもそれが目的の一つだ。しかし、金利を下げれば下げるほど庶民の預金への意識は積極性を増している」と指摘。18年までは毎年の新規預金額が4兆~5兆元(1元=約20円)だったが、新型コロナの流行で急増し20年の新規預金額は11兆元、22年には18兆元に達したと説明した。

預金額が増えている背景について記事は「金利を下げているということは景気が後退していることを意味し、大幅な利下げで経済成長を刺激するのが狙いだ。庶民からすれば今後も景気の下振れが続くと考えれば、資産の安全確保が第一となる」とし、「中国人はかねてより預金を好む。主な目的は金利を得ることではなく一種の予防だ。わが国の社会保障水準が低いことを背景に、庶民の多くは将来的なリスクに備えて預金するのだ」と説明した。

そして、庶民の預金ブームについて「コロナとそれ以降の経済動向により多くの人の将来に対する不確実性が高まり、より強い預金意欲につながった」と分析。また、「リスクへの備えだけでなく、良い投資先がないことも確かだ」と指摘し、「株式市場も不動産市場も基本的に庶民の富は増えず、大幅に目減りしている。ここ数年は預金を選んだ庶民が、実は勝ち組になっている。資産運用を行っている人の多くは荒波に巻き込まれた状態で、むしろ保守的な預金こそが最も安定したリターンを得ている」と述べた。

記事は、「庶民の預金が爆発的に増加していることについて、どこからそのお金が出てきているのかという疑問がある。経済は下降しており、預金が増加したのは収入の増加によるものであるはずがない。多くはやはり、消費を減らして節約したお金を預金しているのである」とし、「株も家も買わない人が増え、日々の消費を減らし、それによる連鎖反応として市場の低迷が続き、物価まで下落し始めている」と説明した。

その上で、「現在の経済情勢は、デフレの悪循環を形成している」とし、これを断ち切るためには政府による社会保障システムの拡充が必要と主張。「庶民が社会保障システムを頼り、将来の介護、病気などへの不安がなくなり、過剰貯蓄の必要がなくなれば、より多くの資金が放出されて経済を刺激することができる」とし、「そうした安心感がない限り、パニック的貯蓄は止まることはないだろう」と論じた。(翻訳・編集/北田)

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