「味ぽん」使った鍋料理、水注ぐだけであったか 長田高生とミツカンがユニーク缶詰 備蓄食にも

味ぽんを使った商品「ぽん鍋缶」を開発した長田高校生=長田区池田谷町2

 長田高校(神戸市長田区池田谷町2)の2年生4人が、火や電気を使わずに温かい鍋料理が味わえる缶詰を開発した。加熱材と一緒に袋に入れて水を注ぐだけで温められる便利な逸品。食品メーカー「ミツカン」(愛知県)の協力で、誕生60周年を迎える看板商品「味ぽん」を使い、「ぽん鍋缶」と名付けた。高校生のビジネスコンテストで高い評価を得たアイデアを具現化。鍋料理の魅力を伝えつつ、防災備蓄食の側面も持たせた。(門田晋一)

 ぽん鍋缶は非売品。具材は鶏肉団子、しらたき、大根、白菜、ゴボウ、ニンジン、シイタケで味ぽんなどで仕上げた。味ぽんのラベルがモチーフの白と黄色が基調の箱に加熱材とともに入れた。

 考案したのは鳥居彩人さん(17)、西村順成さん(17)、高場晴菜さん(17)、轟千桜音さん(17)。2022年、鳥居さんが交流サイト(SNS)で、企業などが出す課題に高校生が挑む「マイナビキャリア甲子園」の広告を見て、3人を誘った。

 複数の課題の中から「ミツカン」を選んだ。テーマは「『半径1メートルのしあわせ』を可視化し、10~20代の若者の共感を得られる味ぽんブランドの新たな事業を創出せよ」-。

 4人は塾や部活動を終えて夜中に帰宅することが多く、家族と食卓を囲めない生活に着目。友人と温かい鍋をつつけば心とおなかが満たせると考えた。さらに缶詰だと持ち運べて、長期保存が可能になり災害時の非常食になると構想を膨らませた。アイデアは23年3月の決勝大会で、インターネット視聴者から評価され、「視聴者賞」に輝いた。

 8月から実際の製品づくりに取り組んだ。収益を考えつつ、缶詰に加工したときに食感や風味が損なわれにくい鶏肉団子を使い、具材の味わいを引き立たせる味ぽんの比率を探り何度も試飲を重ねた。

 今年1月17日、同社から完成品450食が同校に寄贈された。鳥居さんは「一から商品づくりが体験できたことはありがたかった」と感謝。西村さんは「考えたことを実現するプロセスを学べた」と話した。

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