豪雨災害で経営者を失い廃業した由布市湯布院町湯平の旅館が、観光拠点「石畳の駅つるや」として生まれ変わり、3月1日にオープンする。地元の特産品を販売し、旅行者らが休憩できる施設になる。運営するゆのひら温泉観光協会は「湯平が活性化する起爆剤にしたい」と意気込む。
1階の和室の広間を改修した。物産販売のコーナーに、旅館の女将(おかみ)がつくる「ゆのひらんアイス」や農産物などを置く。スナック菓子や酒類、日用品も並べる。地区内にコンビニやスーパーがなく、以前から観光客の要望があったという。
休憩スペースは、購入した商品の飲食や、読書をする空間として想定。これまで昼間に立ち寄る場所がなかったのが課題だった。地元住民との交流の場になることも期待する。
看板や内装は湯平在住のデザイナー渡辺真紗美さん(40)が手がけた。石畳通りの入り口にあった観光案内所も建物の玄関正面に移転する。
かつての旅館「つるや隠宅」を営んでいた一家4人は、2020年7月の豪雨で川に流され亡くなった。アニメキャラクターを使った情報発信などで若者を呼び込もうと奮闘していた。
観光協会の古長康行事務局長(50)は「再び若い人が来てくれるような魅力ある施設にしたい」と誓った。
営業時間は午前10時半~午後5時。当面は水、木曜日が定休。
<メモ>
旅館の建物は2022年、ゆのひら温泉観光協会が遺族から買い取った。復興支援のために全国から寄せられた浄財も購入費に充てた。改修には県の補助金と市の負担金の計500万円を活用した。