立腹…知り合った男性、彼女と浮気か 男性と飲酒中に嘔吐した彼氏…男性にからかわれ激怒、頭蓋骨を陥没させ殺害 荒れ地に遺体を捨てた彼氏に懲役14年 うつぶせだった男性、ハンマーを突然何度も振り下ろされ悲劇

さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

 2021年12月、職場の同僚だったインドネシア人男性=当時(29)=を殺害し、遺棄したなどとして、殺人や死体遺棄などの罪に問われた、インドネシア国籍で無職アフマド・サエフディン被告(37)=埼玉県鴻巣市稲荷町=の裁判員裁判の判決公判が14日、さいたま地裁で開かれ、小池健治裁判長は懲役14年(求刑・懲役16年)を言い渡した。

 小池裁判長は判決理由で、うつぶせの男性の背後から近づき、頭部に約800グラムの鋼質のハンマーを頭蓋骨骨折や陥没骨折するほど一方的に複数回振り下ろしたとして「突発的ではあるが強い殺意に基づく犯行」と指摘。自身の交際相手と男性との浮気を疑い悪感情が芽生え、犯行直前に飲酒後の嘔吐(おうと)を男性にからかわれたことを契機に凶行に及び「動機に酌むべき事情は認められない」と説明した。

 また事態の発覚を免れるため、凶器や男性の自転車を捨て遺体をキャリーバッグで運搬。南京錠を付け、投棄した上で草で覆ったとして「殺害後の態様も悪い」と述べた。

 弁護側は、凶器に刃物ではなくハンマーを使用した点や殺害の計画性はなかったなどとして、懲役9年が相当と主張していた。

 判決などによると、サエフディン被告は21年12月30日、鴻巣市のアパートで同僚のアリス・セティア・イラワンさんの後頭部をハンマーで複数回殴打するなどとして殺害。同日、遺体をキャリーバッグに入れて自動車に積み込み、バッグごと福島県小野町内の荒れ地に遺棄するなどした。

 死体遺棄容疑でサエフディン被告と共に県警に逮捕されたインドネシア国籍の男女については、さいたま地検がいずれも不起訴処分にしていた。

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