大堀相馬焼「登り窯まつり」14年ぶり復活へ 5月3日、福島県浪江町で

半谷理事長(右)の助言を受けながら、登り窯まつりで披露する作品を作る児童

 福島県浪江町の大堀相馬焼協同組合は5月3日、町内大堀地区にある大堀相馬焼の拠点施設「陶芸の杜おおぼり」で、復活を計画していた「登り窯まつり」を開く。大堀地区に300年以上前から伝わるとされる国指定の伝統工芸品・大堀相馬焼の魅力を紹介する恒例行事として親しまれてきた。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故により休止していた行事を14年ぶりに催し、伝統の火を後世につなぐ。本番に向け、陶器づくりが本格化している。

 登り窯まつりは震災と原発事故発生前、毎年秋に開かれていた。原発事故の発生で大堀地区は帰還困難区域となり、休止を余儀なくされた。その後、陶芸の杜おおぼりや各窯元が特定復興再生拠点区域(復興拠点)となり、昨年3月に避難指示が解除された。陶芸の杜おおぼりが昨年6月に約12年ぶりに再開し、組合は登り窯まつりを再び開催すべく検討を重ねてきた。

 5月3日から5日まで組合所属の窯元が作品を販売する「大せとまつり」を催す。登り窯まつりは初日の3日に同時開催する。子どもから大人まで幅広い世代の町民らが手作りした作品を、窯元が陶芸の杜おおぼりにある登り窯で焼き上げて披露する。

 今月から作品づくりが始まり、26日は町内のなみえ創成子どもクラブで行われた。4~6年生の児童12人が組合の半谷貞辰(ていしん)理事長の助言を受け、粘土を手でこねて、コップや器などを作り上げた。皿を手がけた松林佑人さん(4年)は「出来上がりが楽しみ」と笑顔を見せた。

 半谷さんは「立派な作品ばかりでうれしい限り。登り窯でしっかりと焼き、大堀相馬焼の魅力を発信していきたい」と決意した。

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