衆院長崎3区補選 自民の候補擁立見送り調整に支持者戸惑い 長崎県連「協議中」と強調

 衆院長崎3区補欠選挙(4月28日投開票)で自民党が独自候補を擁立せず“不戦敗”の方向で調整している状況に、長崎県内で戸惑いが広がっている。党県連幹部は「党本部との協議は継続中だ」と強調。主戦論が根強い離島などの支持者は次期衆院選への影響を懸念し「政権与党の責任として出すべきではないか」と落胆した。
 候補者擁立を巡っては、茂木敏充党幹事長が13日、県連幹部に「戦う方向で準備してほしい」と要請。県連が選考作業を本格化していた。
 党関係者によると、県議と市議の計2人が立候補に前向きな意思を示した。だが市議が出馬を断念。これを受け県連幹部は26日の党本部との協議で「県議1人に立候補の意向がある」と報告する一方、「不戦敗を望む声もある」とも伝えた。これに対し党幹部からは、擁立に消極的ではないかと不満も出ていた。
 県連は27日に県議団会議を開き、党本部との協議内容を説明。前田哲也県連幹事長は“不戦敗”が報道された後に「党本部から引き続き(候補選考で)協議していると連絡があった」と話し、3月10日までに結論を出すよう求めているとした。
 古賀友一郎県連会長は取材に「党本部の決定に従う方針は堅持する」と答えた。
 一方、立憲民主党と日本維新の会は既に候補者を発表。自民が出馬を見送れば、次期衆院選前に野党の訴えだけが選挙区に広がるため、自民支持層が多い離島や郡部では擁立を求める声が強い。
 五島市の党関係者は「有権者の声を受け止め、次に生かすべきだった。逃げたのと同じ」と指摘。東彼地区の党地域支部関係者は「厳しい中でも政権与党として政策を訴えるべきだ」と嘆いた。
 対馬市の自民市議は「(不戦敗は)決定なのか」と絶句。「今まで培った党の地盤はどうなるのか。選挙まで時間はある。考え直せないのか」と声を絞り出した。

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