スタッフの産休に改めてbr「教え直し」の姿勢を新たに!

サマンサの事務室から桜の木が見える。4月初旬は満開で、本当に春の訪れを実感する。本稿が掲載されるころ、桜は葉桜となり、季節は新緑の初夏へと向かうのだろう。この春は自身の子どもが“サクラサク”卒業・入学の節目を迎えたスタッフが複数人いた。そのせいか、より一層春を実感した。

さらに、今年は事務スタッフ1人の“おめでた”も発覚!数年前までも入れ替わり立ち代わりで出産が続き、今までパートスタッフも含めると、何と10人以上のベイビーちゃんが誕生している。もちろん喜ばしいが、一時期は産休・育休スタッフが重なり、日々人員配置に苦慮していたサマンサ。立て続けの出産ラッシュに、「当院はコウノトリの中継地点だろうか?」と思うほどだった。貴重な視能訓練士の出産の際は、「貴重な人材!手放せん!!」と気合で何とか乗り切った。

また、実は当院が開業数カ月のとき、妊娠が判明した事務スタッフがいた。開業半年たたずで経営者側も試行錯誤の状況ということもあり、結局、スタッフ自ら職を辞していった。新人事務長だったサマンサにとってあまりにも急な出来事で、知恵はもとより心の余裕もなく、産休・育休の対応なんてできやしなかった。
その手痛い洗礼を受け、その後の事務スタッフは専門学校の新卒を採用している。15年以上前の当時は、まだ募集すれば事務スタッフはある程度集まったものだ。ただ、時代は変わり、労働人口の減少はもとより、医療機関で働くことの魅力や輝きは鈍くなった。
一般企業とは異なり土曜日勤務があるのは大きなマイナスポイントだし……。おまけに、社会全体での時給上昇で他業種に比べ条件面が劣る場合もあり、魅力鈍化に拍車がかかっている。今回の事務スタッフの産休・育休中の交代要員として早速求人をかけたが、さて、どうなることか……。

結局、残りの事務スタッフに加え、検査・看護スタッフにも助けてもらい、チーム一丸で乗り切るほかあるまい。事務以外のスタッフにも、簡単な事務作業を教えることも必要だ。やはり、情報伝達は産休に入るスタッフから教えたほうがいい。自分の仕事の引き継ぎということもあるので教え方も真剣みを通り越して、切実さがある。

パートの事務スタッフには業務を追加してもらうことになるので新たなスキル習得も必要だが、そこは、事務リーダーとサマンサで対応。でも、ここで注意すべきは、リーダーの負担が過重にならないようにすること。事務スタッフは皆真面目だが融通が利かない傾向があり、ちょっとしたことでオーバーフローになることも。パートスタッフだって、介護や育児などフルで働けない理由があるからパートを選んでいるわけで……。

昨今、AI活用による仕事の変化に加え、コロナ禍で時間ができたことによる「学び直し」が流行っている。今回の事務スタッフの産休へ向けて、サマンサがどう対応するかもだが、今までの経験をスタッフにどう伝えていくかを、改めて考えざるを得ない。
これは「学び直し」ならぬ「教え直し」!まさしく「教え直し」の視点から産休・育休対応に取り組もうと誓うサマンサ。次号へ続く。(『CLINICばんぶう』2023年5月号)

サマンサ●中学校の教師だったが、夫の開業をきっかけに診療所の事務長に就任。日本医業経営コンサルタントと医療経営士3級の資格を持ち、新潟県内の眼科専門診療所で院長夫人兼事務長として経営の舵取りをしている。

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