能登半島地震 観光業(富山県)の現状は…

能登半島地震の発生からまもなく2カ月。堀潤モーニングFLAGのキャスタ―である堀潤さんの現地リポートをお伝えします。きょうは富山県の観光業に携わる人たちの思いに迫ります。

堀さん:「石川県に隣接している富山県。地震の影響がある。話を聞いてきます」

氷見市観光協会によりますと、地震直後から市内では宿泊客のキャンセルが相次いだということです。

氷見市観光協会 関秀作さん:「(1月の予約は)9割がキャンセル。能登へのボランティアや支援団体の人が入っていて、一般の観光客はなかなか予約を取るのが困難」

県内の観光業を支援しようと、富山県は今月から旅行者向けの独自のクーポン配布を始めました。また、宿泊料金の半分を補助してくれる国の「北陸応援割」も来月から始まります。しかし、一般の観光客の受け入れ態勢が整っていない状況での補助開始に、「もう少し遅らせてほしい」という声も上がっています。

一方、ツアーに組み込まれ、観光客を楽しませていた施設は廃業を決意しました。氷見市内にある老舗かまぼこ店「與一郎」。地震で工場が「半壊」したため約90年の歴史に幕を下ろします。

與市郎 中村一成社長:「もう少し若かったら頑張れるが、80過ぎたらちょっと腰が抜けた。決めどころかなと思って、思い切った」

これまで国内外の観光客や修学旅行生にかまぼこの絵付け体験会を開き、去年は約2000人に教えてきたということです。

堀さん:「子どもたちの体験学習の拠点だった中村さんのところも、こうして廃業してしまう」

與市郎 中村一成社長:「氷見市には2軒かまぼこ店が残っている。誰か引き受けると思う。私たちの店は終わりですが。体が続く限りは…本当に残念、仕方ない」

堀さん:「氷見市から車で移動して富山県黒部市に入りました。新幹線で東京からは2時間30分。このあたりには10軒以上の旅館が立ち並びますが、地震の影響で観光への影響が深刻です」

窮状を訴えたのは創業87年の「延楽」の濱田社長です。震災以降、この旅館では売り上げが例年の7割減に。

延楽 濱田政利社長:「地震のニュースが毎日流れていたので、富山県の宇奈月温泉も影響を受けているのではないかということでキャンセルが続出した」

Q:地震の実害・影響は?

延楽 濱田政利社長:「温泉街は幸い建物被害はないが、ただ風評被害がありキャンセル続出」

Q:この季節だとお料理は堪能できるのではないか?

延楽 濱田政利社長:「寒ぶりがたくさん獲れるようになって ズワイガニ、ベニズワイガニ、ノドグロ、アマダイ、たくさん獲れるが、でもお客さんが来ない」

脂の乗った寒ぶりなどの「海の幸」今、まさに旬を迎えています。

堀さん:「たっぷりなうまみと大根おろしのさっぱりとした感じがたまらないですね」

そして、最大の魅力は絶景を眺めながら浸かることのできる源泉掛け流しの温泉です。絶好の観光シーズンのはずが、風評被害の影響で首都圏のお客さんが足を運んでくれない…。厳しい状況でも濱田社長は来月、敦賀まで延伸する北陸新幹線を念頭に、力強い言葉で今後の抱負を語りました。

延楽 濱田政利社長:「旅館を復活させることは地方経済を回すことになるので、我々が頑張らないといけない。ぜひ旅行が支援ということで、1人でも多くの方にお越しいただけたらありがたい」

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