NZ中銀、政策金利5.5%に据え置き 金利見通し引き下げハト派色

Lucy Craymer

[ウェリントン 28日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は28日、政策金利のオフィシャルキャッシュレート(OCR)を5.5%に据え置くと同時に金利の先行き見通しを引き下げた。

ロイター調査ではエコノミスト28人中27人が金利据え置きを予想していた。現状維持は5会合連続。

中銀はインフレ見通しに対するリスクがより均衡した状態になったと表明。OCRのピーク水準予想を従来の5.7%から5.6%に引き下げ、実質的に追加引き締めリスクを低下させた。

中銀の金利見通しは一部市場関係者の予想よりややハト派的だった。これを受け、NZドルが下落し、債券価格が上昇した。

中銀は声明で「コアインフレ率とインフレ期待の大半の指標は低下しており、インフレ見通しに対するリスクがより均衡した状態になった」とした。

市場では今会合の利上げ確率が23%程度織り込まれていた。

政策決定を受け、5月までの利上げ確率は47%から6%に低下。2年物スワップ金利は5.195%から4.995%に急落した。NZドルは0.9%近く下落し1NZドル=0.6112米ドルと、支持線の0.6152ドル付近を割り込んだ。

ABSのチーフエコノミスト、ニック・タフリー氏は、声明文のトーンがそれほどタカ派的ではなかったと指摘。昨年11月の声明文では上振れリスクが指摘されていたが、今回はリスクがより均衡した状態との見方が示されたと述べた。

同氏は「今後数カ月、OCRをいずれかの方向に動かすのはハードルが高い状況が続く」と述べた。

オア総裁は記者会見で、利上げについて議論したが「OCRは現在の水準で十分という強いコンセンサスがあった」と述べた。

中銀は現在のOCRの水準は需要を抑制しているが、総合インフレ率を1─3%の目標に戻すにはOCRが長期間制約的な水準にとどまる必要があるとの認識を示した。

「金融政策が需要を抑制しているという確信に変わりはない。生産能力への圧力はさらに低下し、持続的なインフレ低下を支援する見通しだ」とした。

これまでの利上げが物価高抑制に寄与したと改めて表明する一方、インフレ率を目標レンジ以下に低下させるため、しばらくは制約的な政策を維持する必要があるとした。

「インフレ目標の達成を確実にするために、主要中銀は市場が織り込んでいるより長期間、政策金利を制限的な水準に維持しなければならない可能性がある。これが世界経済の成長に対するより一般的なリスクだ」と分析した。

地政学リスクや中国経済の減速が政策上の課題だとも表明した。

ニュージーランドではここ数カ月インフレ率が低下し、直近では前年比4.7%となっている。今年下半期には目標に戻るとの見方も出ている。

今回唯一利上げを見込んでいたANZのチーフエコノミスト、シャロン・ゾルナー氏も、声明文の全体的なトーンが予想ほどタカ派的ではなかったと指摘。追加利上げ予想を後退させる一方、利下げ時期の予想も2025年半ばに後ずれさせた。

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