お金を貯めたいけれど、思うように貯金ができないと悩んでいる人は多いのではないでしょうか? なぜお金が貯まらないのか、節約オタクふゆこ氏の事例をみてみましょう。著書『貯金はこれでつくれます 本当にお金が増える46のコツ』(アスコム)より、ふゆこ氏が解説します。
固定観念にとらわれるとお金がいくらあっても足りないワケ
みなさんに質問です。
「アラサー世代の社会人女性って、どんな生活をしていると思いますか?」
・デザインの凝ったインテリアで部屋をおしゃれな空間にしている
・恋人や友だちとの食事会では、ちょっと高くてもおしゃれなお店に行く
・トレンドをさりげなく押さえてファッションに気を配る
・プチプラだけでなく、ちょっと高価なブランドも取り入れる
・ジムやホットヨガに通って自分磨きをする
・ネイルサロンやまつ毛エクステなど美容にも定期的にお金を使う
まだまだありそうですが、こうして書き出してみると「お金がかかる」ことばかりですよね?
それこそ、女性インフルエンサーがSNSで発信するような生活を真似しようと思うなら、自由に使えるお金が月に30万円あっても足りない気がします。
わたしは、このような「世間の考えるアラサー女性像」を意識し過ぎていました。
固定観念にとらわれ、「こうあるべきなんだ」という思い込みに縛られていたといってもいいでしょう。
美容にたいしたこだわりもないのに、「もうアラサーなんだし」という、いま振り返るとよくわからない理由から、デパートで高級コスメを買い、ファッション誌やSNSで「アラサー世代が着るべき服や必須アイテム」を把握して、トレンドを意識した服やバッグを買いそろえていました。
でも、高級コスメもおすすめのファッションアイテムも「自分の意思」で選んでいるわけではないので、結局は「買っただけ」でまったく活用できませんでした。
いまのわたしなら、「使わないなら不用品として売るか、思い切って捨てよう」となりますが、当時は「高かったのに捨てるのはもったいない」「いずれ使うかもしれない」という思考で、部屋のなかは着ない服や使わないもので溢れていました。
「自分のために、自らの意思で選んだ支出」ではなく、ただ「世間体を気にしてお金を使っていただけ」だったのです。
“オトナの女性”だから、「こういうものを身につけないといけない」「これくらいのものは買うべきだ」という固定観念を持ち、それを実現するために散財する。
百歩譲って、お金が足りているうちはまだいいのです。
でも、お金が足りなくなって買えなかったり、買ったことで日々の生活が苦しくなったりすると、さらに大きなストレスを感じてしまう。
「こんなに頑張っているのに、ほしいものも買えない……。みんながSNSに載せるような、キラキラした素敵な暮らしができない。わたしは負け組だ」
いまとなれば笑ってしまうような、はずかしい話です。日々のストレスにより、ちょっと買い物依存症のようになっていたのかなとも思います。
「他人軸」を卒業して「自分軸」で生きていく
・社会人ならデートはいいお店に行くべき
↓
安くてもおいしいお店はたくさんある
・大人ならスーツはそれなりのものを着ないと
↓
見方によっては毎日着る作業着なのに
・腕時計や靴は品格を表す
↓
モノと品格ってそんなに関係ある?
・女子会はホテルのアフタヌーンティー
↓
仲のいい友だちとならどんな場所でも楽しい
・○歳を過ぎたら○○にはお金をかけるべき
↓
年齢で区切ることに意味はある?
このような「○○すべき」や「普通は○○」は、“世間の声”を装った企業や広告が、巧みにわたしたちにお金を使わせようとしているだけなのです。
こういった考え方に支配されたままだと、どこまでいっても他人軸でしか生きられません。
「みんな持っているもの」「○代の女性なら(男性なら)買うべきもの」「一人前の大人なら当然のたしなみ」という視点で考えてしまうから、「それができない自分」に劣等感を抱いてしまうのです。
もちろん、「それなりのスーツ」や「いい腕時計や靴」を自分の意思で選んでいるのであれば、なんの問題もありません。
また、営業職の人であれば、服装や身だしなみにお金をかけることは、成績アップ・収入アップのための投資になる場合もあります。このような収入を増やすための自己投資にお金を使うのも、とても大事なことでしょう。
問題は、そういった明確な目的のある買い物ではなく、単なる見栄や広告に乗せられて「なんとなく」お金を使ってしまうパターンです。
「自分軸」や「人生のなかでの優先順位」が明確になっていて、自分が本当に大切にしたいこと、お金や時間を費やしたいものが決まっているのであれば、それを大事にしていけばいいでしょう。
しかし、「お金を使わせよう」とする広告やマーケティングはとても巧妙です。「これが普通」「これをやるべき」という固定観念は、知らず知らずのうちに、わたしたちの思考のなかに深く刷り込まれているのではないかと思います。
「お金を使おう」としているとき、それが本当に自分の意思によるものなのか、それとも世間の「普通」や「流行り」に流されているだけなのかを見極める作業は、わたしにとってはなかなか難しいものでした。
「自分が本当にほしいものってなんだろう?」
「わたしが1番大切にしたいものはなに?」
こうやって、お金の使い方に疑問を感じられるようになったのは、転職によって仕事のストレスが改善され、自分と向き合う時間と心の余裕ができたからでした。
「これって、本当に自分にとって必要なものかな?」
この問いかけにはっきりと答えられない買い物であれば、いちど財布はバッグのなかにしまいましょう。その物欲は、世間体や固定観念に流されているだけなのかもしれません。それに気づくことさえできれば、「本当に必要なもの」以外はほしいと思わなくなるので、「我慢」の必要すらなくなるのです。
節約オタクふゆこ
YouTuber