暖冬のドカ雪、住民困惑 青森県南・下北地方 八戸市、3年ぶり積雪40センチ超え

今季最大の積雪53センチを記録したむつ市。市民は自宅前の除雪作業に追われた=27日午前、むつ市小川町2丁目

 大雪に見舞われた青森県南地方では27日、交通や物流がまひ、暮らしを直撃した。午後6時までの48時間降雪量が47センチと、2月としては観測史上1位記録を10年ぶりに更新した八戸市では道路が渋滞、臨時休業した店舗も。例年なら春彼岸の期間に降る「彼岸じゃらく」を思わせる水分を多く含んだ重い雪に、住民は驚き、困惑した。

 3年ぶりに積雪が40センチを超えた八戸では、市民が早朝から雪かきに追われた。八戸市稲荷町の企業駐車場では午前8時ごろ、社員十数人が雪を片付け。60代男性は「朝5時から自宅、7時からはこの駐車場の雪かき。疲れたが、春までに一度はドカ雪が来ると思っていた」と苦笑い。午後1時半ごろ、同市十三日町の歩道を除雪していた障がい者支援事業所の指導員・上平万純さん(36)は「早く出勤し、仕事の合間に雪かきをして今日これで3回目。早く雪が解けてくれればいいですが」と話した。

 今季最大の積雪53センチを記録したむつ市内では朝から市民が雪かき、除雪車は道路や歩道にたまった雪を撤去した。

 同市小川町1丁目の女性(74)は、午前8時過ぎから約2時間かけ自宅前を除雪したといい「春になるまでは油断できない」。同市小川町2丁目の女性(78)は、玄関から歩道までの一部だけを除雪。「全て除雪するのは限界。今日は買い物にも行けないね」と語った。

 物流にも影響が出た。八戸通運(八戸市)の陸運部では、大手工場の製品をトレーラーに積み、海上輸送のため岸壁まで運ぶ作業が足止め。岸壁の除雪などが間に合わず平常時より約7時間遅れの午後3時ごろ始めた。担当者は「トレーラーは重心が前にあり、除雪できていないと立ち往生する」と話した。

 急きょ休業する店も目立った。八戸市田向のコメ専門店・カフェ「KOMEKUUTO(コメクート)八戸店」は、大雪で従業員の出勤が遅れるなどしたため、カフェを臨時休業した。スタッフの濵﨑里美さんは「当日に臨時休業を決めたのは2015年のオープン以来おそらく初」と困惑していた。

 八戸市は午前1時ごろから順次、除雪車244台を出動させたが、除雪の要望や苦情の電話が相次いだ。八戸市営バスや南部バスによると、朝から運休や遅れなどによりダイヤが大幅に乱れた。それぞれの担当者らは27日夕の取材に、通常運行再開の見通しについて「今後の道路状況を見て対応していく」「道路の除雪が進んでくれれば良いが…」と気をもんでいた。

 東北電力ネットワークによると、八戸市、南部町、階上町、七戸町、東通村などで停電が発生。停電戸数はピークの午前7時43分に4870戸に達し、延べ停電戸数は午後6時時点で8448戸となった。同11時現在、約10戸が停電している。

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