仲良し夫婦から一転、離婚危機夫婦に?結婚生活で見逃してはいけない「離婚の種」とは

3組に1組が離婚するといわれる今のニッポン。「うちに限って離婚などない」と言っていたラブラブ夫婦が、ちょっとしたことから離婚危機に陥ることはよくあるそうです。

恋人・夫婦仲相談所の所長である三松真由美さんに、実例と合わせて解説してもらいました。

「理想の相手」から一転、離婚危機に陥る原因とは?

私が運営する夫婦仲相談所でも「趣味も合うし、話も途切れないし、理想の相手だと思って結婚したのにこんなことになるなんて」という状況一転の相談があとを絶ちません。

今回は一見何でもないような人生の決断が「離婚の種」になってしまった事例をご紹介しましょう。

ケース1:夫の勝手な転職で夫婦仲が崩壊

現在夫とほぼ別居状態だというアヤ(仮名)さん。結婚2年目のラブラブ夫婦に訪れた危機は、夫の仕事が原因でした。

「うちの夫は大手商社マン。毎年就職人気ランキングでトップ10に必ず入る有名企業です。毎日仕事はいそがしそうですが、入社4年目で年収1,000万超。今の部署は東南アジアとの取引が多いので、そのうち海外に転勤になったら、お抱え運転手つき、メイドつき、プールつきの豪邸で海外暮らしができるかも、と楽しみにしていました。」

しかしそんなアヤさんの「メイドつき海外駐在員の妻」の夢は、夫の転職で突然くずれ去りました。

昨年夏、夫は学生時代の友人が起業したベンチャー企業に、アヤさんへの相談なしに突如転職。しかも、まだ事業として黒字化のめどが立っておらず、1年間は無報酬で働いているのだと。

夫は「やっとやりたいことが見つかった。前職と違って仕事がめっちゃ楽しい。2~3年もすれば、昔以上に稼げるようになるよ」と言っているそうですが、アヤさんからしたら彼が都合よく友人に利用されているようにしか見えません。

「夫を『なぜ勝手に決めたの?』と責めたら、『相談したら反対されると思った』としれっと言っていました。そりゃあ反対しますよ。年収1,000万円を捨てて、無報酬の会社で長時間働かされて。こんなに大事なことを相談せずに決めるなんて、夫に対してほんとに失望しました。夫にとって私なんかまったく大切じゃないんだな、という現実を突きつけられた気がしました」

最近では、アヤさんはストレスから体調をくずしがちに。逆に夫のほうは、アヤさんが顔を突き合わせるたびに恨み言を言うため「俺のことを理解してくれない」と、友人宅に外泊する日が増えてきました。今ではほとんど別居状態。アヤさんは離婚も視野に入れて実家の親に相談しているそうです。

ケース2: 長男だけに熱心な夫、妻との話し合いも平行線…

結婚10年目。3人の子どもの父親であるリュウヤさん(仮名)夫婦の危機は、愛するわが子が原因でした。

「9歳になるうちの長男が、マジで凄いんですよ」と彼が見せてくれたスマホには、息子さんがサッカーの試合でシュートを決める姿や、どこかの大会での優勝カップなど、長男君の写真がいっぱい。

「去年、長男は某プロチームの下部組織である強化特待クラスのセレクションに参加しましたが、あいにく残念な結果でした。まあ、僕は日本のチームにはこだわっていないので、最初から海外にサッカー留学をして、そこでキャリアを積んでもいいのかなと思っています。ヨーロッパを目指したいところですが、結構お金がかかるので、オーストラリアとか近場も考えています」

と、長男の将来設計を熱く語るリュウヤさん。聞けば、ご自身も昔はプロサッカー選手になりたかったのだとか。それだけに、息子に自分の夢を託す思いも人一倍強いようです。

プロを目指す長男君は、クラブチームに所属しているほかに1回2万円近くするプライベートコーチにも教わっているなど、かなりお金もかかっています。リュウヤさんご夫妻にとっての「自慢の息子」が、最近の夫婦喧嘩の元になっていました。

「妻は、僕が長男ばかりをかわいがる、といつも文句を言います。サッカーのことは、僕しかわからないので、日々のトレーニングや食事の管理、コーチとの連携、試合や練習への送迎などは全部僕がやっています。2番目、3番目の子どもがまだ小さいので、妻は『もっと家事や育児を分担してよ』と不満をぶつけてきますが、僕だって遊んでいるわけではなく、長男の育児を分担しています。サッカーを知らない妻に、長男の才能をつぶさせたくないんです」

リュウヤさんの口からは妻へのいら立ちが次々に出てきます。一方で別の機会にリュウヤさんの妻に話を聞くと、こちらも夫への不満が次々に出てきました。

「プロのサッカー選手になるなんてギャンブルみたいなもの。夫は自分の叶わなかった夢を息子に押しつけているだけです。あの子がサッカーしかしていなかったら、もし怪我でもしたら一生食べていくのにも困ります。

それに、うちにはほかにも2人もまだ子どもがいますし、経済的にもサッカー留学だなんて無理。長男だけにそんなにお金をかけるわけにはいきません。この認識のずれはいくら話し合っても平行線で解消しないんです。もうこの人といっしょの将来は描けないかも、って最近では感じてきています」

お子さんが3人でしかもまだ小さいので、今すぐに離婚というようなことはなさそうですが、リュウヤさんも妻も、相手の考えを受け入れたり、理解しようとしたりする様子がなく、かなり関係性がこじれてしまっている印象でした。

価値観の相違が離婚の危機に

夫婦の危機といっても「浮気をした」とか、「相手に暴力をふるった」とかと違い、アヤさんの場合もリュウヤさんの場合も、「どちらかが悪い」というわけではありません。

両方とも、自分や家族の幸せを思ってやっていることが、相手の価値観に合わずに夫婦関係に危機が訪れているケース。アヤさんの夫もリュウヤさんもこんなことが夫婦の離婚の種になるのか、と思っているのではないでしょうか。

「パートナーは、決して自分の思うようにはならない」ということを大前提にして、お互いの価値観を理解するように努力したり、ときには自分の価値観を手放したりすることが、夫婦の危機を招かないコツだと言えるでしょう。

「うちは離婚の種だらけ」と感じたかたは、何個の種があるか、大きい種か、小さい種かを観察してください。芽が出て花が咲く種ならいいのですが、こちらの種は花咲く時期には弁護士と慰謝料・養育費の相談をしているかもしれません。

◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。

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出典:Amazon

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