業務用厨房機器&洗剤市場に関する調査を実施(2023年)~2022年度の業務用厨房機器&洗剤市場は前年度比107.5%の3,110億9,000万円、コロナ禍による需要低迷を契機に需要分野・事業領域を拡大し、3年ぶりに3,000億円台を回復~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の業務用厨房機器&洗剤市場を調査し、市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

1.市場概況

2022年度の業務用厨房機器&洗剤市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年度比107.5%の3,110億9,000万円であった。
2020年度以降、コロナ禍で飲食店や宿泊施設における機器・洗剤の需要が大幅に縮小したものの、持ち帰り惣菜等の中食市場や飲食店のテイクアウト・デリバリー需要などが下支えした。2022年度に入ると行動制限も緩和されて外食需要も回復し始めたため、コロナ禍前の水準までは戻らないものの市場規模は拡大した。
業務用厨房機器&洗剤業界は外食産業や学校給食など一部の官需に依存していたが、コロナ禍による需要低迷を契機として需要分野・事業領域を拡大したことが奏功した。但し、昨今の原材料費やエネルギーコストの高騰が利益を圧迫しており、参入メーカー各社は利益の回復に努めている。

2.注目トピック~省力化・省人化対応の厨房機器

近年は、業務用厨房機器の需要先(外食・中食・学校や病院給食等)において人手不足が深刻化しており、人件費の高騰にもつながっていることが大きな問題となっている。
需要先企業では、付加価値の創出につながる調理関連業務よりも、単純な下処理や後片付け作業(食器・機器の洗浄等)の自動化ニーズが高いと考えられる。また、調理関連ではスタッフの調理をサポートする機器(スチームコンベクションオーブン、餃子焼き器などの専用器)の需要が増加している。

3.将来展望

業務用厨房機器を構成する加熱調理機器、業務用冷凍・冷蔵庫 、業務用食器洗浄機の各市場及び業務用厨房洗剤市場は、いずれも省エネ、低コストに加えて、人手不足を補う省力化・省人化が強く求められている。
また、ユーザー業界の環境意識の高まりに応じた製品開発(脱フロン、脱プラ等)や取り組みの重要性が増しており、これらへの対応とアフターサービスの充実が今後の業務用厨房機器&洗剤業界の発展につながると考える。

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