2021年11月、兵庫県稲美町の住宅が全焼し、小学生兄弟が死亡した放火殺人事件で、兄弟と同居していた伯父で、殺人と現住建造物放火罪に問われた男（53）の裁判員裁判で、懲役30年（求刑・死刑）とした神戸地裁姫路支部判決を不服として、神戸地検姫路支部は28日、控訴した（求刑・死刑）。
男は2021年11月19日深夜、妹夫婦らと同居していた兵庫県稲美町の木造2階建ての自宅で、押し入れに収納していた布団にガソリンをまいて火を放ち全焼させ、就寝中の兄（当時12歳・小学6年）と弟（同7歳・小学1年）を殺害したとされる。
妹夫婦とトラブルになっていた男は、「両親に精神的な苦痛を与えたくて、大切な子どもを狙った。直接的に殺したのは自分だが、間接的にやったのは妹夫婦らだ。謝罪はできない。死刑にしてもらってもかまわない」などと述べていた。
2月15日の判決で神戸地裁姫路支部は、「（妹夫婦の）男への度重なる嫌がらせに対する逆恨みという親族間トラブルに起因しており、被告が軽度の知的障がいがあり、問題解決能力が低い点も一定程度考慮した」と、死刑を回避し、有期懲役刑とした理由を述べた。
検察関係者は一審判決後、「量刑について疑問が残る。何の罪のなく、声を上げることができない2人の子どもの命を奪ったという『結果の重大性』についての評価が欠けている」と話していた。
