ノーベル賞受賞の本庶佑氏、神戸医療産業都市推進機構の理事長退任へ 後任に理事の成宮氏

本庶佑氏

 神戸市の外郭団体、神戸医療産業都市推進機構(同市中央区)は28日、ノーベル医学生理学賞受賞者の本庶佑理事長(82)が、来月末で退任すると発表した。本人の意向で、2年前に遭った交通事故のけがの治療に専念するという。後任には同機構理事で、京都大大学院医学研究科メディカルイノベーションセンター長の成宮周氏(75)が就く。4月1日付。

 本庶氏は京大医学部卒。同学部長時代、阪神・淡路大震災の復興事業として1998年に立ち上がった「神戸医療産業都市構想懇談会」に参画した。2015年に同機構の前身、先端医療振興財団理事長に就任。18年にはがんの免疫治療薬開発に道を開いたとして、ノーベル賞に輝いた。

 同機構はポートアイランドで展開される神戸医療産業都市の中心的存在。21年には本庶氏が主導する「次世代医療開発センター」を開設した。

 本庶氏は22年2月に京都市内での交通事故でけがをした。「身体機能の一層の回復に向けてリハビリに集中したいと考えており、京都から神戸に日常的に出勤することも難しくなっている。来年度からは新しい理事長に機構を率いてほしい」とコメントした。

 成宮氏は京大医学部卒で、京大大学院医学研究科長などを歴任した。専門は薬理学・生化学。17年に文化功労者に選ばれ、22年に瑞宝重光章を受章した。また、同機構は4月から会長職を新設し、シスメックス(同)の家次恒会長(74)が務める。(金 旻革)

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