【新NISA】つみたて投資枠「インデックス投資信託」がいいの?「後悔しない」選び方3選

投資初心者は「アクティブ・ETF」を選ばない方がいいのか

2024年より非課税保有期間が無期限になり、ますます活用しやすくなった新しいNISA。

これを機に人気のつみたて投資枠を利用して、資産運用を始めてみようとお考えの方もいるでしょう。

新NISAにおける積立投資を始めるにあたり、投資初心者を悩ますのが「何に投資すべきか」だと考えられます。

なぜなら、新NISAつみたて投資枠の投資対象ファンドは、2024年1月31日現在281本。この中から、投資すべきファンドを自身で選ばなければいけないからです。

本記事ではこれからNISA枠を活用して積立投資を始める方に向けて後悔しないファンドの選び方をご紹介していきます。

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新NISA「つみたて投資枠」の投資対象ファンドについて

新NISA「つみたて投資枠」を利用して積立投資を行うには、金融庁が厳選した投資信託の中からファンドを選択しなければいけません。

つみたて投資枠の投資対象の要件とファンドの種類・本数は次の通りです。

新NISA「つみたて投資枠」の投資対象の要件

新NISA「つみたて投資枠」は、「長期」・「積立」・「分散投資」の資産運用を支援する制度で、投資対象となる投資信託は、金融庁の基準を満たすものに限定されています。

  • 販売手数料はゼロ(ノーロード)
  • 信託報酬は一定水準以下に限定
  • 顧客一人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること
  • 信託契約期間が無期限または20年以上であること
  • 分配頻度が毎月でないこと
  • ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと

新NISA「つみたて投資枠」の投資対象ファンド

2024年1月31日現在、つみたて投資枠の投資対象ファンドは全部で281本あります。そのうち227本を「指定インデックス投資信託」が占めています。

新NISA「つみたて投資枠」投資対象ファンド数
  • 指定インデックス投資信託:227本
  • 指定インデックス投資信託以外の投資信託(アクティブ運用投資信託等):46本
  • 上場株式投資信託(ETF):8本

インデックス・アクティブ・ETFとは?

新NISA「つみたて投資枠」の投資対象商品は「指定インデックス投資信託・アクティブ運用投資信託等(指定インデックス投資信託以外)・ETF(上場株式投資信託)」の3つのタイプに分けられます。

インデックス・アクティブ・ETFの違い

指定インデックス投資信託

つみたて投資枠の投資対象商品の約81%を占める「指定インデックス投資信託」は、以下のような指標(ベンチマーク)に連動する運用成績を目指す投資信託です。

  • 日本株式:TOPIXや日経平均
  • 米国株式:NYダウ
  • 世界株式:MSCI指数

例えば、日経平均株価をベンチマークとするインデックス投資信託であれば、代表となる225銘柄に分散投資することで、ベンチマークに連動した成果を得られるということになります。

アクティブ運用投資信託

一方、ベンチマークを上回る運用成績を目指すものを「アクティブ運用投資信託」といいます。

インデックス投資信託より積極的な運用を行う性質上、期待リターンとリスクが高くなるため、安定性よりも収益性を重視したい方に適しているといえるでしょう。

ETF(上場株式投資信託)

現時点でわずか8本しかないETFについても触れておきましょう。ETF(上場投資信託)とは、ベンチマークに連動した運用成績を目指す投資信託です。

インデックス投資信託との違いは、「上場」している点にあります。ETFは証券取引所に上場しているため、株と同じように市場価格で売買を行います。

このような違いにより、安定性を重視した資産運用を好む方にはインデックス投資信託がおすすめといえるでしょう。

インデックス投資信託「後悔しない」選び方3選

では、新NISA「つみたて投資枠」で投資するインデックス投資信託はどのように選べば良いのでしょうか。

投資信託は途中で解約して別の銘柄に変えることはできますが、積立投資の性格上、基本的には長期的に継続して投資することが重要です。

ご自身にとって最適な銘柄を見つけて、じっくり運用しましょう。

ここではインデックス投資信託選びで「後悔しない」選び方を3つご紹介します。

コスト「信託報酬」が高いファンドを選ばない

投資信託には通常「買う時・運用中・売る時」に手数料が発生します。

つみたて投資枠の対象商品は、買う時の手数料がかからない「ノーロード」となりますので、運用中と売る時にかかるコストに注目しましょう。

このうち、運用中にかかるコストとなる「信託報酬」は、運用期間中に毎日、運用資産から差し引かれていくものです。なお、毎営業日決定する基準価額は、信託報酬が差し引かれたものとなります。

例)運用中の資産10万円・信託報酬0.5%の場合

10万円✕0.5%(税抜)÷365日=1.36円(信託報酬)

1日あたり約1.4円が運用中の資産から差し引かれます。

運用期間中「ずっと」かかる信託報酬が運用利回りより高いと資産が増えないため、類似するファンドがあれば信託報酬がより低いものを選ぶと良いでしょう。

ただし、つみたてNISAにおけるインデックス投資信託の信託報酬は、金融庁によって以下のように上限が定められています。

  • 国内資産を対象とする場合:0.5%以下(税抜)
  • 海外資産を対象とする場合:0.75%以下(税抜)

比較的低コストではありますが、10年、20年と長期で投資し続けるものですので、信託報酬にも注視してファンドを選びましょう。

ご参考までに、2024年1月31日現在の「つみたて投資枠」対象ファンドの信託報酬を見ておきましょう。

つみたて投資枠対象商品の信託報酬率の分布

国内を投資先とする指定インデックス投信の信託報酬率の平均は0.236%。0.1%超~0.2%以下のファンドが最多となっています。

国内・海外を投資先とする指定インデックス投信の信託報酬率の平均は0.32%。こちらも0.1%超~0.2%以下のファンドが最多となっています。

保守的過ぎるファンドを選ばない

リスクを避けたいがゆえに、低リスクにこだわりすぎると運用そのものが超保守的になり、リターンを得られないかもしれません。

リスクとリターンの関係はイコールです。5%のリターンを望むのであれば、5%の損失を覚悟しなければいけません。

リスク許容度に正解・不正解はありませんが、低リスク過ぎると信託報酬を上回る運用成果を得られない可能性もあります。ご自身のリスク許容度を再考してみても良いでしょう。

また、保守的過ぎるファンドでは利益が小さく、NISAの最大のメリットである「非課税」を最大限に活用することができません。

「リスクを一切とらないお金」、「超低リスクのものに投資するお金」、「少しリスクをとるお金」というように預貯金やその他の資産全体とバランスをとることをおすすめします。

投資先が1つの国に集中したファンドを選ばない

「日本の株式」、「米国の株式」というように投資対象が一国に集中したファンドは、シンプルで仕組みや動向が分かりやすい一方で、リスクを1つの国に委ねることになります。

日本株式が良好な年もあれば、米国株式が良好な年もある、というように投資の世界はずっと右肩上がりというわけにはいきません。

安定的な運用を求める場合には、投資対象国が複数に分散されたものを選ぶと良いでしょう。

ただし、投資対象国によってはリスクがやや高まる可能性もあります。どの国に何パーセントくらい投資しているかといったデータは、投資信託の販売資料や目論見書、運用レポート等で確認しましょう。

判断が難しい場合には、NISA口座を開設している金融機関に相談してみると安心です。

一喜一憂せず長期運用を

長い運用期間中、毎日チェックするのが楽しくなるほど着々と資産が増えていく時期もあれば、「こんなことなら現金で置いておいた方が良かった…」と思うような損失が続く時もあるでしょう。

大切な資産が減っていくことに耐えられず投資自体をやめてしまう方もいます。しかし、積立投資は「長期運用」を目的とした資産運用です。

減っている時=価格が下がっている時には、投資信託を安く購入して価格を平準化する効果もあります。

また、積立投資は、毎月コツコツ積み立てながら運用を継続することで、複利効果により効率良く資産を増やす期待があるものです。

投資を長期継続していくためには、投資方法や投資商品を「自分の基準」で決めることが重要です。

本記事でご紹介した3つのポイントを参考にしながら、ご自身の投資意向に適したファンドで資産運用を行いましょう。

参考資料

  • 金融庁「つみたてNISA対象商品届出一覧(対象資産別)2024年1月31日現在」
  • 金融庁「つみたて投資枠対象商品の概要について」

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