実家で昔の通帳を発見! 残高「1000円以下」ならそのまま破棄すべき? 口座を放置する「リスク」についても解説

休眠預金についての基礎知識

長い期間、取引のない預金口座は特定の条件下で休眠預金として扱われます。社会貢献の資金源として利用されるのです。具体的には、2009年1月1日以降に最後の取引が記録されてから10年が経過した預金が対象です。とはいえ、これらの預金は引き続き取引のあった金融機関で引き出すことができるため、完全に手が届かなくなるわけではありません。

例えば、2010年2月に最後の取引があった口座には、2020年3月に休眠預金となる可能性があります。こうなった場合、口座所有者は本人確認ができる書類を携帯し、金融機関を訪れれば、預金の引き出しは可能です。しかしながら、その際には通常の預金引き出しより時間を要することがあります。というのは、ATMではなく窓口での手続きが求められることが一般的だからです。

なお、口座所有者が通帳やキャッシュカードを失くした場合でも、パスポートや運転免許証などの身分を証明する書類を提出すれば、預金の引き出しは可能となっています。さらに、もし口座所有者が亡くなっている場合、遺族は金融機関に死亡証明書や相続関係を証明する書類を提出することで、故人の預金にアクセスできます。

休眠預金にはさまざまな種類の預貯金が含まれますが、外貨預金や特定の目的のための積立金など、一部の預金はこのルールの適用外となることに注意が必要です。金融機関によっては、休眠預金の取り扱いに関して独自の規定を設けていることもあるため、詳細は各金融機関に直接問い合わせるとよいでしょう。

なお、休眠預金の可能性がある口座については、金融機関から口座所有者に通知がされます。ただし、預金残高が1万円未満の場合は通知されず、また、現住所と登録住所が異なる場合は通知が受け取れない可能性があります。

使わない預金口座はどうすべきか?

活用しない預金口座をそのままにしておくことは、予期せぬリスクを招く可能性があります。長期間取引がない口座は、休眠預金とみなされることがありますが、それ以上に問題なのは、放置された口座が不正利用の対象となるリスクです。口座の不正売買などの犯罪行為の疑いを持たれた場合、口座は凍結され、真実が明らかになるまでに多大な時間と労力を奪われることもあります。

口座解約の手続きは面倒に感じるかもしれませんが、自己の財産と安全を守るためには欠かせない行動です。たとえ残高がわずかであっても、その口座を放置することで起こり得るリスクは小さくありません。したがって、不要になった銀行口座は早めに解約し、将来的なトラブルの可能性を最小限に抑えることが賢明です。

使わなくなった預金口座は適切な処理を

実家から見つかった古い通帳が、もし1000円以下の残高なら、すぐに破棄するのではなく、休眠預金の可能性や不正利用のリスクを考え、適切な手続きを取ることが大切です。通帳を破棄しても、口座は残ります。そのままにしておくと、無用なトラブルに巻込まれるかもしれません。まずは金融機関に問い合わせ、残高の確認や口座の状態を把握し、必要に応じて解約などで対応しましょう。

出典

金融庁 長い間、お取引のない預金等はありませんか?

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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