棄てられた?チワワの老犬は重度の腎不全や貧血 保護団体の愛情を受け少しずつ元気に 1か月半後に訪れた突然の別れ

瀕死の状態で彷徨っているところを保護された老犬のチワワ・エア

2023年9月のこと。広島県の動物愛護センターに保護されたチワワの老犬がいました。名前はエア。センターで与えられるエサを口にせず、ぐったりしています。また、歯が1本もなく常に舌が出ている状態でした。すぐにでもメディカルチェックを行い、適した処置やケアを行う必要がありました。

行き場を失ったワンコの保護・譲渡活動を行う団体、ピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)では迷わずエアを引き出すことにし、まずは同団体の検疫施設がある神石高原シェルターで健康状態の検査を行うことにしました。

重篤な持病や怪我がいくつもあった

エアにはいくつもの持病・怪我がありました

神石高原シェルターにはピースワンコに所属する獣医師や介護・看護スタッフがいます。さっそくこれらの専門スタッフがエアのメディカルチェックを行なったところ、重度の腎不全や貧血を起こしており、心臓病、甲状腺機能低下症、後ろ足の靭帯損傷など、様々な疾患が見つかりました。

エアは野犬などのミックス犬と違い、チワワという血統犬種ですので元飼い犬でしょう。しかし、ここまで持病を悪化させるほど世話をされていなかったことを思うと、飼い主が意図的に棄てた可能性も考えられました。

強い憤りと悔しさを覚えるばかりですが、最優先すべきは複数あるエアの持病に向き合うこと。ピースワンコの獣医師や介護・看護スタッフは、一丸となってエアの治療と世話をすることにしました。

静かに虹の橋を渡っていった

ピースワンコでの最善の治療処置と献身的なお世話により、エアは時折笑顔を見せてくれるようになり、ご飯も口にしてくれるようになりました。

「良かった。このままエアがさらに元気なってくれると良いな」と願うスタッフでしたが、保護から約1カ月半が過ぎた日、エアは静かに虹の橋を渡りました。

スタッフから受けた愛情を思い浮かべながら穏やかに寝ているようにも見えます
エアのことを特に気にかけていたプロジェクトリーダーの安倍誠さん

その表情は穏やかで、まるでピースワンコのスタッフからたっぷり受けた愛情を思いながら寝ているようにも映りました。そんな表情で旅だったエアを前に、ピースワンコのプロジェクトリーダーの安倍誠さんはこう声をかけました。

「エアありがとう。こっちが送らなきゃいけないはずのパワーや勇気を沢山もらっていたよ。もっと感謝の気持ちを伝えておけば良かった、エア、生まれてきてくれてありがとう。ずっとずっと大好きだよ」

エアの犬生において、最期を迎えるまでの約1ヶ月半が、仮に初めて受けた愛情だったのだとしたら、生きる喜びを知る上では短すぎるものかもしれません。しかし、日本ではまだまだ殺処分が各地で行われており、生きる喜びを全く感じることがないままこの世を去っていくワンコもいます。こういったワンコを1匹でも多く減らすことができるよう、ピースワンコは今日も活動を続けています。

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(まいどなニュース特約・松田 義人)

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