【弥生賞】レイデオロ産駒の好走条件は距離にあり トロヴァトーレが産駒初の重賞制覇なるか

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距離が延びると活躍の傾向

そろそろ再評価の時期ではないだろうか。現3歳が初年度産駒となる種牡馬レイデオロだ。確かに現時点での関係者の評価は決して高くはない。その最大の要因は、昨夏の産駒デビュー当初の不振だろう。2歳戦の開幕と同時に良血馬が続々とデビューしながら、夏競馬が終わった時点で出走27頭のうち、勝ち上がりはわずかに2頭。社台スタリオンステーションやノーザンファームの関係者も頭を抱えたはずだ。

その後はどうだろうか。先週までの成績を振り返ると、出走85頭のうち、勝ち上がりは18頭。種牡馬として同期のスワーヴリチャードは68頭がデビューして21頭が勝ち上がりだから、やはり見劣る感は否めない。ただ、これには明確な「敗因」がある。答えはズバリ、距離適性だ。レイデオロ産駒の主要距離別の成績を紹介したい。

<レイデオロ産駒の距離別成績>
1200m【0-0-0-11】勝率0.0%/複勝率0.0%
1400m【0-0-4-13】勝率0.0%/複勝率23.5%
1600m【3-0-1-23】勝率11.1%/複勝率14.8%
1800m【7-9-7-53】勝率9.2%/複勝率30.3%
2000m【10-4-6-45】勝率15.4%/複勝率30.8%
※主要距離のみ

一目瞭然、距離が延びれば延びるほど成績がいい。1600m未満ではまさかの未勝利だから、短距離が中心の早い時期に勝ち上がれず、大きく出遅れたのも納得だ。対照的に1800m以上では19勝(1900m、2200mで1勝ずつ)しているが、これは現3歳世代に限るとエピファネイア29勝、キズナ27勝に続いて3位の数字。先週はサンライズアースがすみれSを制し、産駒初のリステッド勝ち馬となったが、その距離は2200m。「いかにもレイデオロらしいな」と笑ってしまった血統ファンは私だけではないだろう。

もちろん、短距離以外にも弱点はある。牡馬は55頭中17頭が勝ち上がっているのに対し、牝馬は30頭が走りながら、先週の3歳未勝利でサツキノジョウが初勝利。小柄な馬が多いためか、陣営が仕上げに苦労している印象を受ける。しかし、逆にいえばほぼ牡馬だけで及第点の数字を残しているのだから大したもの。配合や育成など、それぞれのステージで牝馬に対するアプローチが確立されてくれば、多少なりとも活躍馬は出てくるはずで、成績面の伸び代は十分にある。

今週の弥生賞ディープインパクト記念にはトロヴァトーレがエントリーしている。ここまで今回と同舞台の中山芝2000mで2戦2勝。とりわけ前走の葉牡丹賞では上がり3Fが11秒7-11秒3-11秒4という前有利の流れを、中団から悠々の差し切り。ひいき目なしに重賞級と思わせるパフォーマンスだった。今回はトライアル。シンエンペラーやダノンエアズロックなど実績馬がズラリと顔をそろえたが、底を見せておらず、楽しみはある。

レイデオロの種付け料は、ファーストシーズンの20年から600→600→700→700万円と高値で推移していたが、今年は500万円にダウンした(種付け料は受胎確認後)。しかし、ここでトロヴァトーレが産駒の重賞初制覇となれば、評価もガラリと変わってくる。父の大きな後押しとなる勝利を期待したい。

《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GⅠのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。



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