写真家の石川真生さん 芸術選奨の文部科学大臣賞に 沖縄の現実突き付けた

自身が撮影した自衛隊配備強化への反対運動の現場の状況を説明する石川真生さん=2023年8月22日、那覇市民ギャラリー

 文化庁は28日、芸術分野の優れた業績などを表彰する2023年度(第74回)芸術選奨の文部科学大臣賞(美術部門)を写真家の石川真生さんら23人と1組に贈ると発表した。石川さんは「沖縄の現実を突き付けるべく、写真家としての生きざまを圧倒的な迫力で示した」ことが高く評価された。

 他には沖縄を舞台に性的暴行事件の真相を追うWOWOWのドラマ「連続ドラマW フェンス」が評価された脚本家の野木亜紀子さん、人気高校バスケ漫画「スラムダンク」作者、井上雄彦さん、歌舞伎俳優の片岡愛之助さん、

俳優の佐藤浩市さん、歌手の藤井フミヤさんらが選ばれた。

 石川さんは昨年、東京で初となる1970年代初期の代表作から最新作まで170点を展示した大規模個展「私に何ができるか」を開催した。

 選考理由では「半世紀にわたり、土地と生そのものを沖縄で生きる人間として撮り続けている。人々の生きざまが圧倒的な写真の力で生々しく集積された作品群は、国内のみならず国際的にも高い評価を受けている」点や「琉球国時代から現代までの歴史を紡ぎながら住民とつくりあげる『大琉球写真絵巻』に取り組んでいる」ことも評価された。  

 石川さんは「沖縄と沖縄の人にこだわって、これからも離島など他の人が行かない場所でシャッターを切りたい」と決意を新たにした。

〈ヘリ基地建設に揺れるシマ〉より。旧暦3月3日、地域住民に基地を開放=名護市キャンプ・シュワブ、2002年4月(石川真生さん提供)

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