イオン/ウエルシア・ツルハを経営統合、ツルハ株式1023億円で取得

ツルハホールディングス、イオン、ウエルシアホールディングスは2月28日、経営統合の協議を開始すると発表した。

<イオンの吉田昭夫社長>

イオンは1月29日、ツルハHDの株式を、オアシス・マネジメント・カンパニー・リミテッド(以下:オアシス)が運用するファンドから取得することについて、オアシスとの間で独占的に交渉を開始すると公表していた。オアシスの保有するツルハHD株式660万株(議決権比率:約13.6%、取得価額:1023億円)を取得し、ツルハHDを持分法適用関連会社とする。

イオンは、この株式取得に先立ち、3月5日までに、イオンが保有するツルハHD株式の一部である353万株(議決権比率:約7.3%)を野村證券に売却。その後、イオンは、3月13日までに、オアシスから株式取得を実行することにより、イオンが保有するツルハHD株式の議決権比率を19.9%とする。イオンが保有するツルハHD株式の議決権比率は約27.2%となり、ツルハHDはイオンの持分法適用関連会社となる予定。

また、ツルハHDとウエルシアHDは、ツルハHDを親会社とし、ウエルシアHDを完全子会社とする株式交換の方法による経営統合を行う。

この経営統合後、イオンはツルハHD株式に係る議決権割合が過半数以上51%未満となる範囲で追加取得することにより、イオンがツルハHDを連結子会社とし、ツルハHDは、イオングループのヘルス&ウエルネス事業の中核子会社となる。

3社は、遅くとも2027年12月31日までに経営統合について最終的に合意することを予定している。

経営統合により、店舗開発、調剤併設化、商品や電力の仕入れ・開発、物流効率化の相互協力を推進。決済・ポイントシステム・デジタルマーケティング・保険に関する提携、プライベートブランド商品の共同開発・相互供給、DX・ECに関する相互協力、経営ノウハウの交流、フード&ドラッグ業態の研究、人材・人事情報の交流を図る方針。

イオンは、現在ツルハHD株式を13.59%保有。1995年1月、ツルハHDとの間で資本業務提携の覚書を締結している。

ウエルシアホールディングスの2023年2月期の連結決算は売上高1兆1442億7800万円、営業利益456億3500万円、経常利益521億4900万円、親会社株主に帰属する当期純利益270億3000万円。

ツルハホールディングスの2023年5月期の連結決算は、売上高9700億7900万円、営業利益455億7200万円、経常利益456億8900万円、親会社株主に帰属する当期純利益252億5800万円。

今回の経営統合により、単純計算で、イオンのヘルス&ウエルネス事業は売上高2兆円を超える規模となる。

医療格差、健康格差、地域間格差の拡大が大きな社会問題となる中、ドラッグストア業界においては、出店余地の減少、薬価の引き下げ、価格競争の激化など、事業環境の厳しさは増している。

3社は、このような環境下においても、誰もがヘルス&ウエルネスのサービスを等しく受けられる社会を実現するためには、既存の業態の枠組みの中での成長にとどまらず、自らの業態の抜本的な変革を推進していく必要があると考えるに至ったという。

今後、日本のみならずアセアンをはじめとするグローバル規模において、人々の未病、予防、治療に従事し、健康寿命の延伸に貢献することにより、地域生活者のより高次なヘルス&ウエルネスの実現を目指す。

■イオングループの関連記事
イオン/ツルハHDの株主総会、会社提案に賛成

© 株式会社流通ニュース