大阪万博、開催したら「来場者」「IR工事」「トレーラー」で渋滞発生の危惧 アクセスは道路2本、地下鉄1本の脆弱さ

万博会場の建設工事が進む大阪・夢洲(写真・時事通信)

当初予算の倍近い、最大2350億円になりそうな会場建設費や、2億円のデザイナーズトイレ、伸び悩むチケット販売数とボランティア募集人数ばかりが注目される「2025年国際博覧会(大阪・関西万博)」だが、ここにきて、万博開催中に会場の夢洲(ゆめしま)周辺で発生する交通渋滞が危惧されている。

万博協会の資料によると、期間中の想定来場者数は2820万人。輸送手段別の1日の来場者数は、鉄道(大阪メトロ中央線から北港テクノポート線夢洲駅)が11.8万人(41%)、シャトルバス6.2万人(22%)、自動車10.5万人と想定されている。一般の自家用車は夢洲に入ることができず、会場からおおむね15km圏内に用意された会場外駐車場に停め、そこからバスに乗り換える『パークアイランド方式』を取り入れる。

「しかし、夢洲は対岸への道路が2本しかありません。万博開催とIR(統合型リゾート施設)工事は同時進行なので、来場者の乗るシャトルバスとIR工事の車両が同時間帯に集中すると、大渋滞が発生する可能性が高いのです」(経済担当記者)

2月27日までに、大阪市は週末や会期後半の午前中に、どの程度の渋滞が発生するか試算を発表した。渋滞が予測されたのは阪神高速の「湾岸舞洲(まいしま)出口」。会期全体の約6割の時期の、午前8~10時台に、通行可能以上の車両が集中するとしている。ほかの試算対象になった5地点では、渋滞が発生しないとした。

しかし、試算が「甘すぎる」と異を唱える関係者も多い。

「夢洲にはコンテナ船のターミナルがあり、日常的に数百台のトレーラーが通行しています。それは万博開催中も変わりません。そのため、万博来場者、IR工事関係車両、コンテナを運ぶトレーラーが一気に押し寄せることになります。万博協会は、開催中はIRの工事を休止するように申し入れをしているそうですが、IRも国の認可が遅れて、工事が予定から半年ほど遅れています。万博協会の申し入れを承諾するのは難しいでしょう」(在阪ジャーナリスト)

万博協会は建設費用に始まり、あらゆることを「過小評価」する傾向にあるようだ。後出しジャンケンは混乱を招くだけだ。

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