心筋細胞を高精度で作り分ける手法を発見 京大iPS細胞研究所など 創薬への活用期待

京都大学

 ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)から心筋細胞を作製する際、高い精度で心房筋と心室筋を見分ける手法を見つけた、と京都大学iPS細胞研究所などのグループが発表した。創薬への活用が期待されるという。論文が28日に国際専門誌に掲載された。

 心臓から全身に血液を送り出す心室と、心臓に流れ込んだ血液を心室へ届ける心房では構成する心筋細胞が異なり、収縮力なども違う。しかし、これまでの手法では厳密な作り分けが難しく、複数の種類の心筋が少なからず混在してしまうことが課題だった。

 同研究所の吉田善紀准教授らのグループは、これまでの手法で作製した心室筋と心房筋について、各細胞集団を解析したところ、細胞表面に存在するタンパク質の一種が両種の分化に深く関わっており、このタンパク質の量で選別が可能になることを突き止めた。

 また、特定の遺伝子の発現を阻害すると心房筋へさらに効率良く分化させる手法も発見したという。

 心房筋は心房細動、心室筋は肥大型心筋症などの疾患の研究に役立つ可能性がある。吉田准教授は「創薬に活用するうえで十分な純度と機能性を持つ心室筋と心房筋の細胞を作製することができた」と話している。

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