町制施行以来初の女性議員が誕生「新しい風を吹かせたい」 宮城・蔵王町

2月25日に行われた宮城県の蔵王町議会議員選挙で、町の70年の歴史で初めて女性議員が誕生しました。多様な視点から町を変えたいと立ち上がった候補者の選挙戦です。

蔵王連峰をいただき、1万1000人余りが暮らす蔵王町。
伊藤雅代氏(68)「町の議会に一歩足を踏み入れて新しい風を入れたい、そう思って立候補を決意いたしました」
藤沢麻衣子氏(40)「藤沢麻衣子、藤沢麻衣子でございます。蔵王町に新しい風を吹かせたいと思います」
今千佳氏(52)「こんにちは」「がんばってね、応援してるからね」

2月20日に告示された蔵王町議会議員選挙に、無所属の3人の女性が立候補しました。蔵王町が誕生して約70年、女性議員はこれまでゼロ。立候補すらありませんでした。

初の女性立候補者

2022年、七ヶ宿町で初の女性議員が誕生したことで宮城県で女性が議員になったことがないのは蔵王町だけとなっていました。他の自治体に遅れを取っていると危機感を抱いた町は、2023年7月に模擬議会を開きました。

町や現職議員の声掛けで7人が参加し、女性のキャリア支援や学生の通学費の補助を町に提案しました。今回、町議選に立候補した3人も皆、模擬議会の参加者です。
今千佳氏「模擬議会で多くの女性が参加していたのを感じたので、今はとてもいいチャンスではないかなと正直思いました。模擬機会があったことで、少しハードルが下がった感じはしています」

藤沢麻衣子氏は、宮城県の学校で栄養教諭として働いてきました。町議選の直前に、小学校2年の娘が新型コロナに感染し看病に追われました。
藤沢麻衣子氏「ハードスケジュールです。1週間娘を看病しなければいけなかったこともあって、他の陣営さんに比べれば出遅れ感はあるのかなって。そういうお母さん方も多いと思うので、病理保育や子育てのサポートであるとかそういう面をもっと充実させていかないといけないのではないかと私は考えます」

藤沢氏は自然豊かな環境に惹かれ、4年前に蔵王町に移住しました。蔵王町は子育てに手厚い町をうたっていましたが、授乳やおむつ交換ができるスペースが少ないなど藤沢氏には不満に感じる点も多くありました。

議員になって、授乳スペースの拡充や給食費の無償化といった子育て支援を筆頭に、高齢者の見守りや防災など実効性のある政策を打ち出したいと考えています。しかし、女性候補への風当たりは強いと言います。
藤沢麻衣子氏「蔵王町で女性議員なんてなれないよと言われた」

藤沢氏は、子どもが幼い頃に立候補者の名前を連呼する大きな音に困った体験から、選挙カーは使いません。主にSNSでの発信を重視した選挙戦を展開しました。
藤沢麻衣子氏「これで藤沢受かるわけないでしょって。このスタイルで私が当選してしまえばこのスタイルでもいけるんだ、子育てしながらでもいけるんだって思って立候補する方が1人でも増えればいいなと思います」

これまでとは違う顔ぶれに、有権者は。
「彼女は子どもさんがいるし、そういう意味ではいいんじゃないの。新しい風が吹いてくれればいいけどね。良くなると思うよ、やっぱり若い人が入ってきた方が良いに決まっている」

連帯感が生まれる

13議席を現職と新人19人が争った町議選で、模擬議会をきっかけに交流を続ける3人の候補はライバルである一方、連帯感も生まれていました。

投開票日。新人の自分を選んでくれる人がいるのか、気が気ではありません。
結果は3人の女性候補が全員当選しました。藤沢氏は312票を獲得し、7番手で初当選を果たしました。
藤沢麻衣子氏「町民の方々は、町を変えたいという強い思いがあってこの結果だと思うので、これに応えていかなければいけないと思いました」

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