40歳会社員、ついに「年収600万円」になりました。マンション購入を考えていますが、購入金額はいくらまでなら大丈夫ですか? ゆとりを持って返済したいです

無理のない住宅ローンの借入額は年収の約5~6倍までが目安

住宅ローンの借入金額を決める際に考慮すべき指標として「年収倍率」があります。年収倍率は世帯の年収額を基準に、住宅購入価格を検討するための数値です。

住宅金融支援機構が集計している「2022年度 フラット35利用者調査」によると、年収倍率はマンション購入で7.2倍、中古マンションであれば5.9倍という結果になっています。

また、大手銀行にて住宅ローン借入審査を受ける際には、年収の約5~6倍までを上限にすることが多いようです。年収倍率の約5~6倍を基準として計算すると、年収600万円のケースでは、3000万~3600万円までの購入金額であればゆとりを持った返済ができそうです。

もちろん4000万円など、より高い金額の住宅を購入する場合でも、審査が通る可能性はあります。しかし生活費を切り詰める必要が出てくるなど、余裕のある返済は難しくなるかもしれません。長期にわたり無理なく返済可能かという観点で、購入金額を検討するようにしましょう。

住宅ローン金額を決定する際の注意点

前項にて、余裕を持って住宅ローンを返済するには年収倍率5~6倍までが目安と紹介しましたが、ほかにも主な注意点を紹介します。

年収の変化

住宅ローンは一度組むと、25~35年と長期間の返済をすることが一般的です。厚生労働省の「令和4年 賃金構造基本統計調査」によると、会社員は50代後半をピークに年収が下がっています。このことから、返済中に年収が変動する可能性が高いといえるでしょう。

金利の変動

住宅ローン金利の変動は、完済するまでの総返済額に大きな影響を与えます。向こう何十年の金利動向を予測することは難しいため、変動金利のリスクを許容することが難しい人は固定金利型のローンを選択することで、想定外のリスクを回避できます。

無理のない住宅ローンの返済を

住宅ローンの返済は、25~35年と長期にわたることがほとんどです。余裕のない住宅ローン返済は、生活費を切り詰めなければならないなどで、日常生活の精神的不安をもたらします。本記事にて紹介した「住宅購入価格は年収の5~6倍まで」という目安を1つの参考に、無理のない返済金額を検討しましょう。

出典

住宅金融支援機構 2022年度 フラット35利用者調査
厚生労働省 令和4年 賃金構造基本統計調査
国土交通省 令和4年度住宅市場動向調査報告書

執筆者:小林裕
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート

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