「原爆の日」に暴行容疑 中核派活動家5人を逮捕

「原爆の日」に、平和公園とその周辺であった集会やデモ行進を巡り、警察が関係先を全国一斉に家宅捜索しました。広島県警は、警視庁などと合同で、平和記念式典が始まる前の会場周辺で暴力行為があったとして、中核派の活動家5人を逮捕しました。

■「戦争反対がなんで犯罪になるんだよ」

警察に向かって不満を口にするのは、逮捕された東京に住む中核派活動家の古郡陸容疑者・40歳です。そして松木誉明容疑者・58歳も逮捕されました。その後、大阪でも中核派活動家3人が逮捕。5人はいずれも「暴力行為等処罰法違反」の疑いです。5人は去年8月6日、広島市職員に集団で体当たりした疑いです。広島市によると、職員は会場の警備などに当たっていました。

■警察

「これより警察は令状により捜索活動を実施する」

警察は2月28日朝、東京や大阪などにある中核派の拠点や関係先などを一斉に家宅捜索。捜索場所は、全国の8都府県14か所に及びます。そして広島でもあった家宅捜索。警察は、押収した関係書類などを詳しく調べるとしています。式典会場周辺では、デモ行進や集会が繰り返されています。広島市議会が、厳粛な式典開催のために実効性のある対応を求めた請願を、賛成多数で採択したのは、2月27日でした。実効性のある対応とは。憲法に詳しい専門家に聞きました。

■広島大学 法学部 井上嘉仁 准教授

「さまざまな人権が保障されているから、人々の権利や自由を奪うような国家や地方公共団体の権限行使は許されない」

平和記念式典の周辺で複数の団体が開く集会やデモ行進。広島市は、2023年8月6日、職員が参加者に転倒させられ、負傷していたことを明らかにしていました。

■広島大学 法学部 井上 嘉仁 准教授

「暴力行為はどういう理由があっても許されない。この職員を怪我させたっていう 行為が文脈上、表現行為に位置づけられないのであれば、それは、通常の不法行為として 処理されるべきで、表現の自由で正当化されるような事案ではないということになるのかなと思っています」

警察は、逮捕した5人が参加していたデモを主催した「8・6ヒロシマ大行動実行委員会」の事務所も、家宅捜索しました。28日午後、記者会見を開いた実行委員会は、5人の逮捕を、「反核運動をつぶす不当な逮捕」と訴えました。平和を願う日に起きた事件による逮捕者。そして、原爆犠牲者を慰霊する式典の周辺で繰り返される拡声器を使用しての団体行動と、言論・集会の自由とのせめぎ合い。「慰霊の日」の意義が問われています。

【2024年2月28日 放送】

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