選抜制導入、いきなりの四期生センター 日向坂46が見せた“変わること”への覚悟「信じてください」

日向坂46、11thシングル 16名の選抜メンバー

先週25日の『日向坂で会いましょう』(テレビ東京/毎週日曜25時5分)で、日向坂46の11thシングルのフォーメーションが発表され、その結果にファンから大きな反響が寄せられた。「選抜制導入」と、いきなりの「四期生センター」。グループにとって、かつてないほど大きな変化が起きたからだ。

日向坂46は2019年3月に1stシングル「キュン」でデビューして以降、ずっと「全員選抜」のフォーメーションを貫いてきた。これはシングル収録の表題曲にメンバー全員が参加するスタイルで、表題曲に選抜されたメンバーだけが参加する「選抜制」に対して使われていた言葉だ。同じ「坂道グループ」の乃木坂46は以前からこの「選抜制」の形を取ってきたし、櫻坂46も三期生加入後、昨年から選抜制を導入した。

そんな中で、日向坂46は2022年9月に四期生12名が加入してからも、「全員選抜」の形を変わらず取ってきた。シングルごとに参加メンバーが入れ替わる「選抜制」には、さまざまなドラマが生まれるが、やはりそこには選抜メンバーに「入れる、入れない」という差が生まれてしまう。「全員選抜」にはそれがなく、楽曲を全員で届ける。ファンにとっても、変わらないことへの安心感もあった。

しかし今回のシングルでは、「全員選抜」から「選抜制」を導入することになった。これにはメンバーが増えたからということもあるが、昨年2023年が日向坂46にとって“苦悩の1年”だったことも大きく影響しているのだろう。

フォーメーション発表後に、これまで10曲中5曲で表題曲センターを務めた二期生の小坂菜緒は、「いつか絶対(選抜制度が)来るだろうなって思ってたし、2023年、日向坂にとって苦悩の1年というか、あんまりうまくいかなかった1年だった」と昨年を振り返り、2024年について、「本当に本気で、この1年で獲りに行かなきゃいけないなっていう風に感じてます」と強いまなざしで語っていた。

さらにキャプテンで一期生の佐々木久美も、昨年12月に開催した「Happy Train Tour 2023」ファイナル公演のスピーチで、2023年について、「今年はひな誕祭とかツアーとかいろいろな場所を回らせていただいたんですけれども、やっぱりちょっと私たちメンバーにどこか迷いがあるようなときがあった。それを本当なら、察されてはいけないのに、おひさま(=日向坂46ファン)にもちょっと“あれっ?”って不安な気持ちにさせてしまったり、そんな瞬間があったと思います」と正直な気持ちを語っていた。

■私たち次第なのだという覚悟はあります。信じてください

そんなグループ全体での悩みや葛藤を経ての変化だったのだろう。結果は、「選抜制」を導入し、選抜メンバーには総勢28名の中から、一期生4名、二期生6名、三期生1名、四期生5名、合計16名が選出された。さらに驚くべきことに、センターには四期生で17歳の正源司陽子が選ばれた。「選抜制導入」に、いきなりの「四期生センター」。一気に変化へのかじを切った。ダブルで与えるインパクトはかなり大きく、グループが変わることへの覚悟が見える。

正源司センター抜てきに布石はあった。四期生楽曲「シーラカンス」ではセンターを務め、「Happy Train Tour 2023」では、休養のためライブを欠席していた二期生の丹生明里の代わりに「One choice」のセンター。同曲で『ミュージックステーション』(テレビ朝日系/毎週金曜21時)に出演した際にもやはり同様に中心を担った。「Happy Train Tour 2023」の中で、四期生が日替わりでセンターを務めた「期待していない自分」でも、11人の中で最後にセンターを務めたのも正源司だった。

正源司は曲の世界にグッと入り込み、パフォーマンスをする。その姿に引き付けられる。以前インタビューした際に本人も「パフォーマンスも曲によって顔つきが変わるって言われるんです。習い事でピアノ、吹奏楽部でフルート、家ではギターをやってきて、音楽はずっと大好きで。曲の世界に入り込むのが好きなので、それが生きているのかなと思います」と話していた。

変わることへの思いはメンバーにもファンにもさまざまある。発表後のメンバーのブログを見ると、選抜に選ばれたメンバーも、選ばれなかったメンバーも、多くのメンバーが「変わる」という言葉を使い、自身の思いをつづっている。その中でキャプテンの佐々木は述べている。「変わっていくことも変わらないことも大事で、そのどちらも前向きにできるかは私たち次第なのだという覚悟はあります。信じてください」。変化を遂げた新しい日向坂46がどのような姿を見せるのか楽しみにしたい。(文:堀タツヤ)

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