「坂の上の赤い屋根」主演・桐谷健太が作品を絶賛! 橋本良亮は1カ月半で13kgの減量明かす

WOWOWプライムで3月3日から放送・配信される「連続ドラマW 坂の上の赤い屋根」(日曜午後10:00)の完成披露試写会が開催され、主演の桐谷健太と共演の倉科カナ橋本良亮(A.B.C-Z)蓮佛美沙子、そして監督の村上正典氏が舞台あいさつに登壇した。

「坂の上の赤い屋根」は、人間の心の暗部を描く“イヤミス(読後、嫌な気持ちになるミステリー)”の名手の1人、真梨幸子氏の同名小説が原作。新人作家が18年前に起きた「女子高生両親殺害事件」をモチーフにした小説企画を、出版社の編集者に持ち込んだことから物語が始まり、やがて登場人物たちが抱える嫉妬、劣等感、孤独、過去など“黒い感情”の正体と事件の真実が明らかになっていく。

司会者から、主人公である轟書房の編集者・橋本涼役の桐谷健太さんと紹介された桐谷が「橋本涼ってちょっとややこしいんですけどね…」と言うと、名前が似ている橋本が「今、僕ビクってしました」と反応し会場からも笑いが起こる中、桐谷は「この作品、僕も最後まで見させていただきました。手前みそではありますが、見応えがありましたし、登場人物の黒い渦がどんどんぶつかり合う様子が、見ている人にもその渦が広がっていくと思います。それを気持ち悪いと感じる人もいれば、心地いいなとか、懐かしいなと思う人もいるような、いろいろな見方ができる作品になっていると感じました。最後の第5話まで見ていただきたいです」と力を込めてアピールした。

新人小説家の小椋沙奈役の倉科は「桐谷さんがおっしゃったように、本当に見応えのあるドラマになっていますし、最後の最後まで気になるというか、 物語にのみ込まれていくような感覚になると思うので、たくさんの方に見ていただいて、皆さんが魅了されたらうれしいなと思っております」とあいさつした。

主人公と名前が似ている橋本は、死刑囚の大渕秀行という難しい役どころに挑戦。「皆さん全話見られたということですが、僕はまだなんです。なので、視聴者の皆さんと同じタイミングで見ようかなと思っています」と言うと、共演者からどうして見ていないのかとツッコまれ、「第1、2話は見させていただいたのですが、第3~5話はまだなので、続きが見たくてしょうがないのですが…」と言い訳のように告げ、視聴者と一緒に見ることを強調し、会場は笑いに包まれた。

大渕と極中結婚した礼子役を務めた蓮佛は「桐谷さんと倉科さんもおっしゃっていましたけど、橋本さんごめんなさいね、本当に面白くて。少しずつ見ようと思ったんですけど、一気見しちゃうぐらい。私も手前みそにはなってしまうんですけど、すごく面白かったです。狂気的でありながら共感性も高いという。狂気と共感って一見相反するものだと思うんですけど、 本当に絶妙に交ざり合った作品になっていて、皆さんにどう受け取っていただけるのかがすごく楽しみです」とコメントした。

実はこの日、蓮佛の誕生日ということで、誕生日の日にイベントに出演した気持ちを聞かれると「台本に書いてなかったからびっくりして鳥肌が立ちました。うれしいです。強制的に拍手をしていただいてすみません。ありがとうございます」と恐縮しきりだった。

ドラマの企画書を読んで、出演を即決したという桐谷は「企画書を読ませていただいて、その時にとても衝撃を受けました。自分がこの橋本を生きたらどうなるんだろうという、そこにすごい興味が湧いたのが一番なんですけど、挑戦したいなとすごく思いました。すぐマネジャーに電話をして『これ、やりたいんですけど』と話をして、脚本を読ませていただいた時に、本当にどうなっていくのか先が読めない中で、どんどん話が進むたびに視点も変わってくるんですよね。登場人物の視点で真実も変われば、見ている人の視点でも真実が変わるような作品になっていて、そこに刺激を受けてやりたいなと思いました」とその時の心境を吐露した。

倉科が演じる沙奈は、女子高生両親殺害事件をモチーフとした小説の企画を持ち込んだことから疑惑を抱かれてしまう。そんなミステリアスな役どころについて「沙奈ちゃんって、新人賞を取った後にだんだん書けなくなって、自分の力を誇示したい気持ちだったりとか、焦燥感だったりとかを持ち合わせていて、演じてみてすごくエネルギーを使う役でした。私も沙奈ちゃんに共感するところがあって、自分の力を見せたい、誇示したいという気持ちもすごく分かるから、そこにギアを入れる形でアプローチさせていただいたのですが、思った以上に沙奈という役はヘビーでしたね」と撮影を振り返った。そんな苦労した役ではあったが、桐谷との共演回数が多いため現場で安心して過ごせたことも明かした。

初めて死刑囚役に挑んだ橋本は、13kg減量して撮影に参加。「減量はすごく大変でした。撮影の1カ月ぐらい前に、こういうドラマがありますよと聞かされたんです。1カ月半前ぐらいにですよ! そして、マネジャーさんから死刑囚役だから、痩せてくださいって言われて、どのぐらい痩せればいいのかと相談したんですけど、結構減量しないとまずいかもって…。1カ月半で間に合うかなとドキドキしたんですけど、なんとか1カ月半で13、14kg落とすことができました」と苦労を語った。

さらに「正直、プレッシャーとの戦いでした。大渕は、サイコパスというか、そういう感情もむき出しにするし、だけど、どこかで優しさがあったり、 そういった芝居と僕はずっと戦っていました。どういう気持ちでやればいいんだろうって」とビジュアルだけでなく、演じる上での苦労も吐露した。

そんな橋本が演じた大渕と極中結婚をした礼子について蓮佛は「本当に難しい役で、だからこそうれしかったんですけど。苦労というか、終始メンタル面でつらくて…。多分、ここに立っているみんなそうだったと思うんですけど。礼子は礼子で、育ってきた境遇というか環境的に本当につらいものを抱えて生きている女性だったので、いつもクランクインする前に、自分の頭の中でその役の人生を疑似体験みたいに脳内再生するんですけど、作る思い出が全部つらくて、 それに食らいついていくというのが結構大変でした。つらかったことではありましたけど、事前に監督やプロデューサーさんたちと打ち合わせをさせていただけたので、不安はなかったです。あと、資料もいただきました。礼子がどういう役で、ドラマではどういう外見で、というのを齟齬(そご)がないようにと、お互いにすり合わせる時間が持てたというのは、すごくありがたかったです」と話し、撮影中は精神的につらかったことを回顧した。

そして、映像化困難と言われていた作品の映像化について、村上監督は「真梨先生の作品を映像化する時は、作品が非常に面白いので映像化していく過程は楽しいのですが、 難しいところもあって、共感できる部分があることがとても大事だなと思っています。ただ、ダークな部分に引っ張られかねないので、その辺が難しい題材ではあるんですけど、心の闇の入り口のところのリアリティーというか、共感性をちゃんと作りたいなと思って台本を作りました。そこも、皆さんが背負ってやってくださっていたので、非常に見応えがあるし、共感できる作品になっているんじゃないかなと思います」と語り、難しかった半面、手応えを感じている様子。

その話を聞いて桐谷が「すごく残酷なシーンもあるんですけど、悲しさもある。僕が出演して出来上がりを見たら、心地良さも感じて、俺、変なんかなと思ったけど、なんか、そうなんですよ。この作品で、そういう変な気分も味わったんですよね。どことなく懐かしさというか、そういう経験はないんですけど、そういう感情がにじみ出たので、作品として素晴らしいなと感じました」と監督の演出を絶賛した。

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