安全と笑顔の種まく 「ヒロくん」最後の講話 口内駐在所菊地洋所長【北上】

最後の安心安全講話で熱演するヒロくん・ゴウくんコンビ

 「きょうは泣かないぞと思ってきたのに…」。13年間、地域の安全・安心を願って多くの笑いを届けてきた腹話術人形「ヒロくん」による最後の安心安全講話が、北上市口内町の口内地区交流センターで開かれた。北上署口内駐在所の菊地洋所長扮(ふん)するヒロくんは感激の涙を流し、参加した地域住民は長年の功労に感謝しつつ別れを惜しんだ。

 ヒロくんは堅苦しい警察広報を分かりやすく伝えたいと思い立ったのが始まりで、初演は東日本大震災があった2011年3月11日、一関市の真滝11区公民館で行われた。震災対応のため一時中止したが、再開を望む声が多くあり同年11月に活動を再スタート。以来、講話は100回以上を数え、延べ参加人数は1万人を超えた。

 講話はヒロくんと「ゴウくん」こと県警鉄道警察隊の高城剛さんのコンビで進められる。交通安全や詐欺についてのクイズでヒロくんが間違った答えを連発し、制服姿のゴウくんがたしなめるというパターンが基本形だ。「秘密の恋人募集中」「男は顔じゃないぞ。お金とココロ」「疲れた、疲れた。帰って酒飲んで寝る」「死ぬまで長生きしろよ」など“迷”ぜりふがちりばめられる。

 同センターで22日に行われた最後の講話には約50人の地域住民が参加し、ヒロくん・ゴウくんの軽快な掛け合いを楽しんだ。講話後に同町自治協議会の及川勝彦事務局長が「『町民のため』を最優先に活動していただきありがとうございました」と感謝の言葉を述べた。功績をたたえ、同協議会の上原耕太郎会長が感謝状と名誉町民証を贈った。

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