『となりのナースエイド』大河の生い立ちが明らかに “無茶な演技”に応じる高杉真宙

ドラマ『となりのナースエイド』(日本テレビ系)もいよいよ大詰め。第8話ではそのタイトルの通りに大河(高杉真宙)の生い立ちが明かされることとなる。そのキーパーソンとなるのが、第8話より登場する少女の小夜子(永瀬ゆずな)。大河にとっての“家族”だ。

大河は児童養護施設「板橋羽ばたき園」の出身で、小夜子も園で育った家族同然の存在だった。つまりは小夜子も大河のことをよく知っているということ。自身を診る大河に、小夜子は「怒ってるの?」「なんでそんな怖い顔してるの?」と素直な疑問をぶつける。園でおもちゃをくれるときはニコニコした表情を見せてくれるというのだ。

これに興味津々なのは大河に好意を寄せる玲香(瀧本美織)。小夜子がいつもやってくれているという「ピカチュウ」のモノマネをリクエストすると、横から玲香も後押しの末に、たいがのピカチュウがあらわれた! さらには澪(川栄李奈)が酔い潰れた大河を寮まで送り届けたのにもかかわらず、お礼の一言すらもないことに、小夜子が笑顔で感謝の一言を要求。渋々、しかもなぜかアゴを尖らせながら、大河は「ありがとう」と澪に告げた。ほかにも酒に弱い大河が泥酔して“ダメ”になるデュフフ顔など、第8話は高杉真宙のモノマネから変顔まで、無茶な演技に応えている回でもある。

こう書くと第8回は明るいエピソードのように思えるが、これまでで最も過酷でつらい物語でもある。小夜子の母・早苗(小野ゆり子)はネグレクトで、小夜子の虫垂炎が悪化し命の危険が迫っていることを教えても、手術を拒否し続けている。そこには財産相続が関係しており、あまり考えたくはないことだが小夜子が亡くなれば財産は早苗へと渡ることとなる。早苗はあろうことか自分の娘へと嫉妬や恨みを剥き出しにして、その思いを説得しにきた澪へとぶつけるのだ。

嫌われ役を堂々と演じ切っている小野ゆり子も目を見張るが、小夜子を救うことができなかったショックから意気消沈しながらも瞳に涙をためてか細い声で大河に電話する川栄李奈の演技に胸が詰まる。大河の父は幼い頃に他界し、母は大河が中学生の時に子宮ガンを発症。主治医は患者に寄り添う医者だったが、腕はからきし駄目で、母の命を救ってはくれなかった。そのことが大河が医者を目指すきっかけとなっている。

「私も先生もどれだけ家族を失えば、いいんですか?」――第8話では澪の父もまた医者でシムネスの研究に携わっていたがすでに亡くなっていることが明らかになっている。つまり澪と大河は身寄りのない者同士。だからこそ、大河は医師免許を犠牲にしてまでも、小夜子を救うことを決断する。

もちろん命を救うという判断は医師として正しいと言えるが、適切な手順を踏んでいないため、早苗をはじめ周囲からのバッシングを受けることは必至。火神(古田新太)が死ぬまでに成し遂げたい目標としているオームスオペレーションシステムにも風評被害が及んでしまう。

人体実験とも言えるオームス適応訓練を取材していた唯(成海璃子)の死の真相、吐血して倒れた火神、オームス適応訓練を受ける澪。第9話は様々な謎が解き明かされていきそうだ。
(文=渡辺彰浩)

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