日建連/4年ぶりにけんせつ小町フォーラム開く、宮本会長らが女性入職・定着へ討議

日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は27日に東京都内で4年ぶりに開いた「けんせつ小町フォーラム」で、官民の有識者らがパネルディスカッションを行った=写真。けんせつ小町活動の目標に掲げる「建設業で働く女性を増やし、働き続けられるような建設業になる」をテーマに討議。パネリストを務めた宮本会長は「多様な人材が施工管理を行っている今の時代はお互いを認め合う必要がある」と述べ、一人一人の事情に即した多様性重視の職場環境づくりを訴えた。
パネリストとして宮本会長のほか日建連の近藤重敏けんせつ小町委員長と、建設業振興基金が事務局を務める建設産業女性定着支援ネットワークの須田久美子幹事長が参加。司会を日建連の細川珠生けんせつ小町部会長が務めた。
建設業に入職する女性の増加や定着を進める観点から▽女性活躍の推進が進まない理由▽一人一人に寄り添ったキャリアプラン▽変革の取り組み紹介-の三つを討議した。
女性活躍の推進が進まない理由では、須田氏が業界に長年根付いた風土として「特に現場に出る技術職や技能職では女性が弱音を吐きにくい、話しにくい。上司に(改善を)期待できないのではないか」と問題提起した。近藤氏は「まずベースとなる企業風土で、自由で闊達(かったつ)に意見が言えるフラットな風土をつくることが『一丁目一番地』になる」と強調。社長を務める三井住友建設で社員が自由に意見しやすい環境整備に注力している事例を紹介した。
一人一人に寄り寄ったキャリアプランや変革の取り組み紹介では、宮本氏が代表取締役会長を務める清水建設の事例を説明した。結婚や出産といった公私の大きな環境変化を契機に退社せざるを得なかった女性社員がいたことを挙げ、「これまでの固定観念をどう変えていくかが大切」と指摘。出産前後に転勤を一定期間保留できる仕組みなど柔軟な対応に努めているとした。
近藤氏は「普段から多様性を尊重することが重要になる。一人で頑張るのではなく誰かに相談できることも大事だ」と述べた。須田氏は女性技術者を念頭に「さまざまな制約がある社員も成長を意識したキャリアプランが描けるよう、現場の所長が率先して取り組む必要がある」と話した。
宮本氏はパネルディスカッションを総括し、会員の女性社員を中心とする200人超の参加者に対し「(フォーラムの内容を)会員の皆さんの会社で共有していただき、建設業の変革につなげていってほしい」と呼び掛けた。

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