新生活スタートのPC初心者に勧めたい 手頃な2in1PC『Surface Pro 9』と「Copilot」のマリアージュ

マイクロソフトが開発・販売する「Surface」シリーズはラップトップ型・デスクトップ型などさまざまなモデルを擁するが、原点となったのは2in1のスタイルだ。別売りのキーボード付きカバー「Type Cover」と組み合わせることで、タブレットとしても、ノートPCのようにも使える。今回はそんな2in1スタイルの最新モデル『Surface Pro 9』をお借りしたので、今話題のMicrosoft Copilotを絡めて2週間ほどの試用期間を経たうえでレポートする。

■まず、パソコンとして便利だと感じたのはその汎用性の高さ

「Surface Pro」シリーズの最上位機種である 『Surface Pro 9』Surfaceには、ほかにも小型でリーズナブルな『Surface Go』、ラップトップ型の『Surface Laptop』、『Surface Laptop Go』『Surface Laptop Studio』、据え置き型の『Surface Studio』などがある。命名が不規則で複雑なのだが、2in1でキーボード付きカバーに対応した、スタンドで自立する"いわゆる正統派Surface"のルックスを持つモデルは、現行機種だとこの『Surface Pro 9』である。

ざっくりとスペックを見ていくと、本体の重さは879g 、純正オプションであるキーボード付きカバーを装着すると重さは約1160gほどになる。本体サイズは287mm x 209mm x 9.3 mm、画面は13インチでアスペクト比は3:2。2in1なのでもちろんタッチスクリーンを搭載している。

ちなみに今回お借りしたのはIntelプロセッサのWi-Fiモデル。5Gに対応したモデルはARMアーキテクチャでファンレス、重さも異なるなど、同じ名前の製品でもかなり仕様が違うため、以下の話は「Intelプロセッサ・Wi-Fiモデルの話」として聞いてほしい。

さて、『Surface Pro 9』をしばらく使ってみたが、この製品の良さは汎用性の高さ、より柔らかい言葉で言うと「手頃さ」にあると感じた。つるりとしたデザインは威圧感がなく、薄くて部屋のどこにおいても威圧感がない。インターフェースもシンプルで、排気口のデザインもエレガントだ。家では机の一等地にスッとカバーをつけて外に持ち出す……と言う使い方にもフィットしている。インターフェースはUSB Type-C(Thunderbolt 4)が2つとSurface Connect端子。電源はUSBからもSurface Connectからも充電できる。
無段階調節できるキックスタンドも使い勝手が良い。180度にほど近いキワキワの165度までディスプレイを倒せるので絵を描くにも良さそう。このスタンドはSurfaceの「モノの良さ」を強く感じる部分だ。

キックスタンドの使い心地はSurfaceのデザインの中で突出して"効いている"、つまりSurfaceをSurfaceたらしめているトコロだと思う。立ててよし、寝かせてよし。

別売の「スリムペン2付きSgnatureキーボード」も使い勝手が良く、特に付属のペンを収納・充電できる場所があるのが嬉しい。ちなみにこのペンは、ペン先を右にしても置くことができた。左利きにはとても嬉しい仕様だ。
また、ペンを収納した部分は本体とマグネットで吸着する。こういうところの設計にスキがなく、使っていても安心感がある。

手で持って使うとOSがタブレットモードになるところも嬉しい。縦に持って使うのも自在、もちろん縦型の据え置き型として使うこともできる。個人的にはここが特に嬉しいポイントで、「縦に置くだけで縦型PCを使える」というのが良い。キーボードとマウスを合わせるのもGood。

私はWindowsをUS配列でしか使えないため、US配列のキーボードを合わせている。このつるりとした1枚の板を家のどこにおいてもいいし、外に持ち出してもいい。Xboxコントローラーを接続してゲームをするのもよさそう。スマートフォンのようにもコンピュータとしても使える手頃さがSurface Pro 9の魅力だ。

そもそもWindowsというのは「いろんなメーカーのパソコンで動くソフトウェア」として進化を重ねてきたOSで、後年これを動かすために開発されたハードウェアとしてSurfaceを考えたとき、こういう汎用的なハードウェアになるのは進化として正しいと感じる。逆にいうと「どっちつかず」と受け取られるスペックかもしれないが、そう思う人はもっと専門性に特化したゲーミングPCとか、UMPCとかを選べばいいのだ。過去「東芝 『Libretto 50』」も「SONY 『VAIO P』」も『GPD Pocket』も使ってきたうえで素直にそう思う。

■「Copilot」でもっと便利に

さて、最新のWindowsはChat AI機能「Copilot in Windows」を搭載している。Microsoft EdgeでおなじみのチャットAI「Copilot」がWindowsでも使えるということだ。この機能も実際に使ってみると、OSの新たな「導線」として機能しているように感じる。というのもWindowsはとても大きなシステムのため、ハードウェアの設定項目がさまざまなアプリケーションに点在しており、「この設定を変えたい」という目的に対して、それを達成する方法がまわからないことがままあるが、「Copilot in Windows」はそうした設定に対して導いてくれる。私は普段あまりWindowsを使わないため、こうした導線がOS内部にあるのはありがたい。たとえば「スクリーンショットの撮り方を教えて」と書くと、スクリーンショットの撮影手順をすぐに教えてくれるし、USキーボードの認識方法、デスクトップピクチャの変更など内部設定の変更方法はいずれもCopilotに聞くことで即座に理解できた。「Copilot in Windows」はスタートメニュー付近に常駐している。

余談だが、歴史を振り返ってもGUIを持ったOSのヘルプ機能には優秀なものが本当に少ない。検索は大体重いし、目当ての情報には辿り着けないものばかりだった。その中でこの「Copilot in Windows」の動作というのはかなり理想的なヘルプであると感じる。操作についてのヘルプを表示してくれるのはもちろん、「音量を下げて」といった命令にも対応する。先ほど例に出した「スクリーンショットの撮り方を教えて」というのも、実は「スクリーンショットを撮って」と命令すると即座にアプリケーションが立ち上がるのだ。

どうにも古くからコンピュータを使っているユーザーとしては”操作”したくなるのだが、今後のビギナーに向けたトレンドとしては音量なんてものはCopilotに下げてもらう方がスタンダードになるのかもしれない。巨大なOSの「入り口」をどのように整備するのかというのは業界全体の課題で、この十数年だけでも様々なアプローチが試みられてきた。その中で「Copilot」というアプローチは今のところ「悪くなさそう」だと感じている。

ちなみに、このようにWindowsの使い方をCopilotに聞きながら使うスタイルはSurface Pro 9の「手頃さ」とも相性がいいと感じる。「Surface Pro 9 + Windows in Copilot」はビジネスのパートナーとしても、初学者の「はじめの一台」としてもおすすめだ。新年度を見据えて購入を検討するのもいいだろう。

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