25歳新鋭監督が故郷・富山で撮った少女の“人生最期の一日” 映画『祝日』公開日&予告編

映画『祝日』より(C)「祝日」製作委員会

2022年公開『幻の蛍』でデビューを果たした富山県出身の映画監督・伊林侑香と、第33回フジテレビヤングシナリオ大賞で佳作を受賞した伊吹一氏が再タッグを組む映画『祝日』が、今年5月に公開される。主演には、富山県在住の新人俳優・中川聖菜を抜てき。撮影には『幻の 蛍』に参加した富山出身スタッフが多数集結し、全編オ ール富山ロケを敢行した。

中学2年の奈良希穂は、中学に入ってからずっと一人暮らしをしている。優しかった父は死に、母は希穂の前から姿を消した。怒ることも泣くこともなく、毎日野菜ジュースとプリンだけを口にし、それでも人間はなかなか死なないものだと思いながら日々を無為に過ごしていた。「本日は、祝日につき、休校」いつものように登校すると、正門に看板が出されていた。一度は学校に背を向けた希穂だが、何かに突き動かされるように校舎の屋上へと向かう。そして眼下のアスファルトへ一歩踏み出そうとした瞬間、誰かが手をつかんだ。“希穂とずっと一緒にいた天使”だと言い張る、自称天使だった―。いつもの街での数奇な出会いが希穂の心を少しずつ揺り動かす。何も感じなかった世界は「最期の一日」を生きることで変わっていく。

主人公の女性・奈良希穂を演じるのは撮影地・富山で200人以上のオーディションを見事に勝ち取った中川聖菜、制作陣はその場でこの物語の世界観を体現できる確信を得たと語っている。希穂と共に最期の1日を過ごす自称天使役には岩井堂聖子。『妖怪大戦争』『シムソンズ』『フィッシュストーリー』と確かな演技で存在感を発揮し、同じ富山を舞台にした『真白の恋』(本作の製作を行なっている坂本欣弘監督作品)で第32回高崎映画祭・最優秀助演女優賞を受賞している彼女は、“希穂とずっと一緒にいた天使”だったが人間の身体を持ったことで翌日には死を迎えてしまうという微妙な役どころを見事に演じている。

そして2人が出会う、へんてこな人達として、富山県が生んだ名優西村まさ彦が、生き別れた幼かった娘に再会できる日を夢見るマジシャン役として登場。『ラヂオの時間』(1993)で第21回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞受賞後、数々の映画、舞台、テレビドラマで活躍する一方、全国各地で演劇を通じた地域振興事業に参画している。故郷富山で俳優養成講座W.V.Aを主宰し、その座員を中心に「演劇集団富山舞台」を立ち上げるなど後進の育成にも注力している。

娘と妻を事故で失い喪服を脱ぐことができなくなった中華屋の店主アフロさん役の芹澤興人は公開されたばかりの『PERFECT DAYS』の出演が記憶に新しいが、主演した今泉力哉監督の『最低』で、第10回TAMA NEW WAVEでベスト男優賞を受賞後、さまざまなクリエイターからのオファーが絶えない名バイプレイヤーとして確実な彩りを作品に与えている。

監督を務めるのは、第17回大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門での公式上映の後、海外でも評価を得た初監督作『幻の蛍』の伊林侑香。監督2作目に注目が集まる。脚本は第33回フジテレビヤングシナリオ大賞佳作に輝いた伊吹一。伊林監督とは『幻の蛍』に続き、2度目のタッグを組む。

映画『祝日』は5月10日より富山県で先行公開。5月17日より全国公開。

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