高まるグミ人気で予想を超え好調の「カンロ」決算で注目した2つの数字とは?

先日、飴を買おうと駅構内にあるコンビニに寄ったところ、選択肢が非常に少ない! あまり触手が伸びず、ほかに代替品はないものかと物色すると、グミの品揃えが異常に充実しているのを感じました。専用の吊り棚にずらりと並んだグミの数々。とくにハード系のグミが多いように感じます。前々から、近所のコンビニでもグミ売り場の拡大は気になっていましたが、さらにグミ人気は高まっているようです。

コンビニのグミ売り場がどんどん拡張していることからも、グミ市場が大きくなっていることがわかります。調査会社のインテージ調べによると2023年の販売金額ベースでは972億円で、前年から24.1%の伸びとなっています。

その一方で、縮小しているのがガム市場です。2021年にグミの販売金額が、ガムをはじめて上回り、その後は差が開く一方。コンビニのガム売り場はどんどん小さくなり、グミとは対照的な扱いです。

グミ人気が高まった理由には、コロナで自宅にいることが増えたこともあげられています。仕事や勉強をしながらかみ続けられ、ストレス解消にもつながるとのこと。ガムは、口臭対策で噛む人が多いため、外出機会が減りニーズが落ちたようです。いったんガムからグミへ嗜好が変わった人たちは、その後もグミを選んでいるのかもしれません。

ひとことでグミといっても、柔らかいもの、果汁入りのもの、甘くないもの、硬いもの、超かたいもの、さらには形も丸や長方形、ヒモ状などさまざまで、飽きないのも魅力。いろいろな楽しみ方ができるコンテンツとも言えます。


企業サイドから見ても、予想を超えた好調

グミ関連企業としてまっさきに思いつくのはカンロです。ピュレグミが登場したときは、そのおいしさと可愛らしさに感動したものです。最近の人気は、ハードタイプのカンデミーナグミシリーズです。家族で楽しむことも多いため、容量が通常タイプの2倍のドリームパックが好調とのこと。さらに、外側はパリッ、中 はしっとりの焼き菓子のプレッツェル型をイメージした次世代食感グミ「グミッツェル」は、2012年の販売開始以来、累計1,600万以上を販売。また当社が公開したグミッツェルの公式咀嚼音は、なんと再生回数12万回を突破しています。

当社は設立1950年の超老舗企業ですが、人材がフレッシュなのかもしれません。ことごとく今の時代の気分にマッチした商品が提供されています。

直近発表されたカンロの決算を見てみましょう。

画像:カンロ株式会社 「2023年12月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)

2024年2月8日に発表された2023年12月期の①売上高は29,015(百万円)、②前年比15.5%、③営業利益3,388(百万円)、④前年比+75.3%と素晴らしい着地です。ちなみに期初に発表した通期予想を第3四半期決算発表のタイミングで上方修正していますので、企業サイドから見ても、予想を超えて好調だったと言えます。

当社のもうひとつの看板である飴ですが、こちらも花粉飛散量増加や、インフルエンザの予防などセルフケア需要により伸びており、グミと飴の相乗効果が売り上げ利益を押し上げたようです。

当社の決算補足説明資料に、グミと飴の市場動向資料が掲載されていました。

画像:カンロ株式会社 「2023 年 12 月期 決算補足説明資料

グミも飴もコロナ前の2019年の販売金額を回復していますが、飴は2019年度と比べて4%程度の増加率に対して、グミは50%以上増加しており、急角度で販売額を伸ばしていることが分かります。このスピード感なら、近い将来、飴の販売額を抜いていくことも容易に想像できます。

注目は自己資本利益率(ROE)

画像:カンロ株式会社 「2023 年 12 月期 決算補足説明資料

さらに当社の決算説明資料で、おっ!と惹きつけられた数字があります。まずひとつは、ROEの推移です。ROEというのは、純利益÷自己資本で計算される指標で、株主が出資したお金を元手に企業がどれだけ効率よく利益を上げたのかを見るためのものです。

カンロの2020年のROEは5.5%でしたが、直近2023年は18.2%と驚くほどに改善しています。ROEは10%以上がひとつの目安とされており、それをはるかに超過していますので、確実に当社の中で何か変化が起こっていると思われます。

もうひとつは、営業活動によるキャッシュフローです。これは、本業による現金の出入りを表しており、こちらも2020年と比べると3倍近くまで増えています。売り上げが伸びていますので、当然とは言えますが、それでも伸び率の大きさは目を見張ります。

本業で現金をしっかり稼いでいるため、研究開発、設備投資、人材投資などにもお金を回すことができます。事実、生産能力増強のための工場増設など積極的に行っており、グミ市場の拡大の波にしっかり乗っていけそうです。

画像:TradingViewより

株価は週足チャートできれいな上昇トレンドを描いています。 PERは13倍台と割高感はなく、押し目をつければつかさず拾いたい形です。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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