AIモデル「Sora」の発表で自動車業界にも激震、中国メーカーがAI開発強化

OpenAIがテキストから最大60秒の動画を生成するAIモデル「Sora」を発表したことで、世界の動画、映画・ドラマ業界だけでなく、自動車業界にも激震が走った。

米OpenAIが中国の春節(旧正月、今年は2月10日)期間中に、テキストから最大60秒の動画を生成するAI(人工知能)モデル「Sora」を発表したことで、世界の動画、映画・ドラマ業界だけでなく、自動車業界にも激震が走った。

大手360社の創始者、周鴻褘(ジョウ・ホンウェイ)董事長はSoraの影響について、「実際には、車を運転している時、ドライバーはこの世界に対する理解に基づいて多くの判断をしている。例えば、他の車の速度がどれくらいか、衝突するか、衝突するとどれくらいの事故が起きるかなどだ。世界についての理解がなければ本当の意味での自動運転を実現するのは難しい。今回発表されたSoraにとって、動画作成は『小手調べ』のようなものだ。Soraはその動画制作能力だけでなく、基盤モデルが現実の世界を理解し、それをシミュレーションできるようになると、新しい成果やブレークスルーをもたらすことができることも示している」との見方を示す。

Soraの開発成功およびそれが背後で示している創発的能力は、コンピュータビジョンの研究に明確な方向性を提供し、今後の動画・シミュレーションの分野(例えば自動運転)の統一したパラダイムになる可能性もあるとする声もある。

Soraは現在はまだ内部テストの段階で、一般に公開されていないが、安全性を確認するため、専門家などに限定で公開されている。OpenAIの公式サイトによると、現時点ではSoraには依然として弱点があり、複雑なシーンの物理的特性を正確にシミュレートするのに苦労する可能性があるほか、因果関係を理解できず、左右を混同する可能性もある。大規模AIモデルには「ハルシネーション」という問題が存在するが、アップデートを重ねることで、将来的にはSoraがそのような問題を解決してくれると期待されている。

Soraの登場により、今後しばらくの間、知能の創発が起きることが予想される。また、各大手自動車メーカーが基盤モデルとSoraがトレンドとなる中、AIの研究開発を加速させ続けている。春節明けの仕事始めの日、小鵬汽車の何小鵬(ホー・シャオポン)最高経営責任者(CEO)は、従業員向けメモで、運転支援機能ためのAI研究・開発に35億元(約700億円)を振り向けるとした。また、吉利汽車集団の淦家閲(ガン・ジアユエ)CEOは、仕事始めのあいさつで、「今の若者が最も注目しているテクノロジーはAI生成コンテンツ(AIGC)だ。AIがインテリジェントカーをめぐる競争の分かれ目となるだろう。AIを搭載していない車は単なる移動手段で、AIを搭載している車はスマートパートナーとなるだろう」との見方を示した。

業界ではすでに、対話型AIであるChatGPTがSoraに動画を生成するよう指示できるほか、人間の最初の入力に基づいて、指示を継続的にバージョンアップさせることができるようになるのではないかと夢が膨らんでいる。

Soraはテキストや静止画像、ひいては動画を基に、自動運転のバーチャル世界を生成し、現有の自動運転の感知・意思決定モデルを訓練できるほか、インタラクティブ能力を現有のモデルに追加することさえできる。

インテリジェントキャビンの分野を見ると、Soraはテキストや平面画像から3Dモデルを生成することができるため、ユーザーはいつでも動画を生成することができるほか、運転の途中で撮影した動画をオンラインでリアルタイムに編集することもできる。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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