RB、複数の部門をミルトンキーンズに建設中の新施設に移転へ。チームの成長に伴いビスターのインフラ設備では不十分に

 ビザ・キャッシュアップRB F1チーム(RB)の代表を務めるローレン・メキースは、チームの部門の一部をミルトンキーンズにあるレッドブル・レーシングのキャンパス近郊に移転する計画を認めた。この動きにより、F1の展望に戦略上かつ競争上の検討事項がさらに生じることになるだろう。

 RBの本拠地はこれまで常にイタリアのファエンツァにあった。しかしチームは長年にわたり、イギリスの“モータースポーツバレー”のなかにある町ビスターにも小規模な施設を構えてきた。この施設では、主にチームの風洞運用が行われているが、規模とインフラの両面で近代的なF1チームには不十分なものになってきている。それが理由で、現在ミルトンキーンズに建設中の専用施設への移転が決定した。

「とてもシンプルなことだ。ファエンツァには非常に優れた施設がある。フランツ(・トスト/前チーム代表)が本部の近代化のために素晴らしい仕事をしてくれた」と、メキースが説明したと『Speedcafe』が報じた。

「2015年か2016年に建てられたと思う。そこを基礎にして築き上げていくのがよいと我々は考えている」

「しかしインフラの面では、今日のビスターにあるものには満足していない。(それによって)ドライバーたちが可能な限り最高のポジションにつくことはないと思う」

「それは単にその歴史によるものだ。とても小さな施設だったが、我々はそれよりも大きくなってしまった。我々がそこにいるのは風洞を使っているからだが、もはやそうはならない」

「我々はこの拠点を閉鎖することを決定した。実際そこにあるのは空力部門、コンセプト部門、その他いくつかの部門だが、閉鎖することになる」

「その代わりに、ミルトンキーンズのレッドブルキャンパスの外側に、完全に新しい本部を建設している。ファエンツァにハイレベルな施設があるのと同様に、最先端の施設になるだろう」

レーシング・ブルズのファクトリー

 ミルトンキーンズへの移転については、RBとレッドブル・レーシングの緊密な関係をすでに警戒しているライバルチームたちが、眉をひそめる可能性が高いだろう。特にマクラーレン・レーシングCEOのザク・ブラウンは、F1におけるレッドブルの二重の所有権と、それに続く提携関係によって2チーム間で協業が行われることに非常に批判的だ。緊密な協業が行われることで、公正な競争の精神が損なわれるという懸念が引き起こされている。

 しかし、RBは、この動きはより幅広い野心によって推進されていると主張している。メキースによると、この新しい拠点はレッドブルとのより緊密な連携を促進するだけでなく、RBの業務遂行能力を増強させるニーズにも応えるものだという。

 ファエンツァの施設には、一流の人材を引き付ける上で地理的な課題があり、特にミルトンキーンズのような確立されたモータースポーツの中心地と比較した場合はそうだ。ミルトンキーンズでの存在感を確立することで、RBはそうした限界を克服することを目指している。床面積の拡大により、イギリスを拠点とする人材の採用が容易になり、チーム全体の競争力を増強してチームの野心を前進させることになる。

「スタッフはビスターからミルトンキーンズに移る計画だ。さらに収容能力のある新しい本部に移ることになる。つまりこの機会を利用して市場に参入し、背景がなんであれイギリスに留まりたい人材を獲得できるということだ。それはレースエンジニア、シミュレーションエンジニア、または空力とデザインの担当者かもしれない」

「ひとつの部門をふたつの場所に分けることが可能になったと考えたいと思う。歴史的に見て、そうすることはF1にとって大きなマイナス面だったし、成功例はそれほど多くない。我々はそのことを意識している」

「そうした歴史を無視しているわけではない。ただ世界が大きく変化しているなかで、テクノロジーだけでなく、人々の考え方も変化していると考えているだけだ。我々はそれをうまく機能させようとしており、アドバンテージに変えることができると考えている。イタリアにいたいから加入したスタッフもいるし、イギリスにいたいから加入したスタッフもいる。弱みではなく強みとして動いていきたい」

2024年F1バーレーンテスト2日目 FIA会見 ローレン・メキース代表(RB)

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