菰野町、一般会計152億8000万円 新年度当初予算案、過去最大規模 三重

【記者会見する諸岡町長=四日市市役所で】

 【三重郡】三重県の菰野町は27日、新年度予算案を発表した。一般会計は、前年度比11.9%増の152億8千万円で、過去最大規模となった。第六次町総合計画に掲げる基本構想の実現と基本目標の達成に向けた編成をした。3月4日開会の町議会定例会に上程する。

 歳入では、町税は同3.3%減の58億7945万9千円を計上。地方交付税は26.8%増の23億2千万円、財政調整基金繰入金は11億4千万円を計上した。

 歳出では、義務的経費は、給与改定や会計年度任用職員の勤勉手当の支給開始などによる人件費増、児童手当拡充、障害児通所支援費や私立保育所等運営負担金の増加などによる扶助費増で、同6.2%増の72億5783万9千円となった。

 投資的経費は、斎場の火葬炉更新と施設改修、小中学校の長寿命化工事、大羽根東野球場のナイター設備や図書館の照明LED(発光ダイオード)化費用増などにより、同74.6%増の13億3049万円となった。その他の経費は、自治体情報システム標準化費用や小学校給食の食材費増による物件費増などにより、同10.4%増の66億9167万1000円となった。

 記者会見した諸岡高幸町長は「個人町民税が定額減税で約9800万円減、固定資産税が評価替えや償却資産の近年の取得状況などを勘案して約9千万円減となるなど、歳入は厳しい状況」とし、「過去最高の財政調整基金を繰り入れることとなり、令和6年度末の財政調整基金残高は本年度末から約4億円減少する見込み。新年度は、将来に負担が行かないように、財政のあり方をしっかり考える」と述べた。

 その上で「いなべ市と定住自立圏形成協定を結び、広域連携を進める。ごみ焼却施設の統合について協議していくが、定住自立圏形成の要項を作成するために議会の議決が必要で、3月議会に議案を上程する」と語った。

 菰野町の主な事業は次の通り。

 ◆コミュニティバス、のりあいタクシー運行等事業(1億1732.3万円)  町内の通勤通学等の交通手段を確保、高齢者の社会参画を促進。三岐鉄道保々駅から夜限定の相乗りタクシーを運行し、町外への利用ニーズを調査。

 ◆子ども医療費助成事業(所得制限撤廃)(686万円)  中学生までの子ども医療費助成の所得制限を撤廃。

 ◆スポーツ施設整備事業(8600万円)  安全にスポーツを楽しむことができるよう、大羽根東野球場のナイター照明のLED化、体育センターとB&G海洋センターのバスケットゴール更新。

 ◆浄化槽維持管理推進事業(750万円)  公共下水道等の処理区域外にある住宅等で合併処理浄化槽の管理が適正に行われている場合に維持管理費の一部を助成し、適正な汚水処理を促進。

 ◆有害鳥獣対策事業(1416.2万円)  ニホンザル、イノシシなどの捕獲、追払活動、山際での進入防止施設などの設置。

 ◆ONSENガストロノミーウォーキング事業(230万円)  昨年11月に実施し300人参加。湯の山温泉街を巡り、食と温泉を楽しむイベント開催。

 ◆観光列車つどい運行事業(280万円)  町と近鉄、観光協会の共催で名古屋―湯の山温泉間で車内にお風呂を設置した列車運行。昨年12月―1月の土日11日間で1177人利用、1058人足湯利用と盛況。

 ◆菰野富士環境整備事業(1000万円)  バリアフリー木道やトイレの整備、新名神高速道路から見える位置への桜の植栽など検討。

 ◆議場映像設備等改修事業(3300万円)  議場映像設備のデジタル化、傍聴席の難聴者ユニット整備。

 ◆救急情報伝送システム整備事業(465.9万円)  傷病者の状況を搬送先医療機関に映像伝送し、医師と情報共有、迅速で適正な処置につなげる。四日市消防(市立四日市病院、県立総合医療センターなど四日市市の3病院)では導入済みで、菰野消防(菰野厚生病院)へ四日市市と同じシステム導入で連携(互換性あり)。

© 株式会社伊勢新聞社