庄屋跡の古民家に泊まろう 兵庫・福崎の「旧小国家住宅」を1棟貸し民泊施設に 日本庭園が見えるヒノキ風呂新設

CFの資金を活用して完成した旧小国家住宅の宿=福崎町山崎

 兵庫県福崎町山崎の国登録有形文化財「旧小国家住宅」の主屋が、1棟貸しの民泊施設に生まれ変わった。昨年末からインターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)を実施し、支援を受けて改装が完了。オーナーの山田威史さん(62)は「飽きの来ない古民家の魅力を楽しんで」と呼びかける。(喜田美咲)

 旧小国家住宅は江戸時代の庄屋跡で、1871(明治4)年の「播但一揆」で農民の身代わりとなり処刑された小国鐵十郎(てつじゅうろう)の生家。時代とともに診療所や教会と役割を変えながらも、常に地域の中心だった。

 敷地内の診療所や長屋門は維持管理のため、すでに飲食店などに貸し出しているが、主屋は活用されないまま10年ほど空き家になっていたという。歴史遺産を次代につなぐため、小国家の末裔(まつえい)である山田さんが民泊施設として活用することを決めた。

 2023年1月から改装を始めたが、費用が想定以上に多額となったため11月末からCFを実施。24年1月末までに、32人から計103万円が集まった。

 建物はおよそ120平方メートルの平屋で、ベッドやキッチンのある洋室、二つの和室を備える。歴史に触れられるよう、診療所時代の医学書や往診箱を並べている。窓から日本庭園が眺められるヒノキ風呂も新設した。CFで集まった資金は、往診で使った人力車の展示や庭の整備、オーブンレンジや鍋などパーティーができる調理器具などに活用した。

 周辺の観光後にくつろいでもらえる場所としてアピールするため、宿のテーマは「姫路城の奥座敷」とした。2月17日から営業を始め、既に県外からの予約も入っている。山田さんは「どの部屋からも庭が眺められるのが自慢。ゆったりと過ごしてほしい」と話す。

 2~8人で利用でき、2人で5万50円から。旧小国家住宅のホームページなどで予約できる。山田さんTEL090.1588.2383

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